厄介ごとの始まり
それは青葉が繁る六月の始め。厄介事を押し付けられた少年と少女の小さな物話。
◆
私立・鳴川学園──その校内の廊下をトボトボと歩く少年がいる。
見た目は中学生にも見える童顔と女の子と言われても不思議でない線の細い少年──。
彼の名は『真庭シジマ』……今年鳴川学園高等部に入学を果たした、歴とした十五歳である。
「何でボクがこんな目に……」
シジマは困り果てた顔で肩を落とし歩いていた。
そんなシジマの後を付いて歩く一人の少女……。ストレートの黒髪、シジマよりも少し高い身長で気だるそうな顔の美少女は『日比野シノブ』。シジマより一学年上の先輩に当たる。
「それは私の台詞よ、真庭君。何で私まで巻き込まれている訳かな?」
「ご、ごめんなさい……」
「……。まぁ良いわ。今更何を言ってもあの人達は受け入れないでしょうし」
「やっぱりそうですよねぇ~……ハァ。どうしよう……」
二人は己の意思とは無関係に『ある物』を探すことになってしまった。そこにどの様な経緯があったのか……時間は少しだけ遡る。
事の始まりは、事件と呼ぶにはあまりに些細な出来事だった……。
「はぁ?紛失した写真を探して欲しいだと?」
放課後。鳴川学園高等部『ミステリー研究部』部室に響く声……。
ミステリー研究部の部長・城島アキラは“何言ってんだ、コイツ?”とあからさまな迷惑顔で聞き直した。
「紛失なら学校に申し出りゃ良いだろ?はい、帰った帰った」
膠もなく断った城島は手で追い払う仕草を見せるが、写真部部長の竹脇は食い下がる。
「頼むよ、城島……先生にはもう申し出た。でも、早く見付けたいんだ」
「はぁ?何だそりゃ?……まさか犯罪絡みじゃないよな?」
「いや……」
歯切れの悪い竹脇。城島は益々怪訝な表情を浮かべ溜め息を吐いた。
「あのなぁ、竹脇?ウチはミステリー研究部と名乗ってはいるが、その実ミステリー小説を読んで意見を交えるだけの文芸読書部だ。謎を解くのが得意な訳じゃない」
「分かってるよ。でも他に頼れるヤツが居ないんだ」
「つってもなぁ……」
「この間俺が手に入れた街の写真展の賞金一万円……ミステリー研究部に提供する。だから頼むよ」
「何……だと……?」
城島は棚から電卓を取り出すと素早く計算を済ませ唸りを上げている。
「うぅむ……諭吉先生がお一人居られれば新刊を五冊以上。いや、古本となれば文庫版が数十冊買えるな……。竹脇、それは成功報酬か?」
「いや……依頼料だ。見付からなくても進呈する。但し……写真を見付けたら他言せず俺に渡して欲しい」
「何か胡散臭いが……要は探しさえすれば良い訳だな?よし!おい、真庭!」
城島の呼び掛けに反応する者無し。もう一度城島が呼び掛けても返事がない。
呆れた城島はガタリと席を立ちミステリー小説を読んでいる部員達の前に立つ。
皆これに気付き顔を上げたが、また直ぐに顔を伏せる。ミステリー研究部……略してミス研部の部長・城島は人使いが荒い。
ましてや先程の話の流れ……当然ながら部員は災難に関わりたくない。
そんな中、一心不乱に本を読み耽る者が約一名。
「おい!真庭!真庭シジマ!聞こえないのか?」
「……。えっ?あ、あれ?部長、いつの間にこんな近くに……」
「全く……お前ってヤツは、一度本を読むと周りが見えなくなるな」
「ごめんなさい、部長……」
溜め息を吐いた城島だったが、シジマに悪意が無いことは理解しているのでそれ以上の説教は控えた。
「まぁ良い。それより真庭……部長からの指令を申し渡す」
「え?な、何ですか、いきなり……」
城島がこういう言い回しをした場合、大概ロクでもない用件であることをシジマは知っている。
何せ部長は何かと言えばシジマを扱き使うのだ。大量の本を買いに行かされたり絶版の本を探しに行かされたりと、その身を以て面倒事を体験しているのである。
「お前に写真部の紛失物捜索を命じる」
「………。え?な、何で写真部ですか?ウチの部に関係ないじゃないですか……」
「それが大アリだ。何と!写真部部長が我々に金一封を提供してくれることになった!対価として写真部に協力せねばならん。そこで真庭……お前の出番だ」
「な、何でいつも僕なんですか?」
「そりゃあ、アレだよ……使い易い?」
「横暴だぁ」
しかし、シジマはミステリー小説好き。ここで部を辞めることは考えていない。勿論、城島もそれも見越して命令している。
「という訳で真庭……金一封からお前が読みたい本を一冊買ってやる。だから写真部を手伝ってやれ」
「で、でも……僕、別に探し物得意じゃないですよ?」
「大丈夫、大丈夫。探し物得意なヤツなんていないから。まぁ、ミステリー小説でやってる捜査真似してテキトーに探せば良い。見付からなくても罰則はない」
「うぅ……本当ですね?見付からなくても責任は取りませんよ?」
「オッケーだ。な?竹脇?」
写真部部長の竹脇は苦笑いで頷いた。見付からなくても仕方は無いが、適当では困るのだ。
「じゃ、今から写真部で事情を聞いて来い」
「えぇっ!い、今からですか?」
「そうだ。善は急げ!犯人が証拠を隠蔽する前に見付けるんだ!」
「ちょっと部長……犯人が居るかも分からないでしょ?さては面白がってますね?」
「当たり前だ!さぁ行って来い、真庭!あ……目当てのものが見付かるまで帰って来なくて良いぞ?」
「理不尽だ……」
城島に背中を押され部室から追い出されたシジマ。その横暴ぶりに依頼を持ち込んだ竹脇は申し訳ない気持ちになり、シジマの背中を叩く。
「悪いね」
「……いつものことですから……」
「大変だな、君も」
シジマは竹脇と世間話をしながら写真部の部室へと向かう。
そんな写真部。ミス研部から二つ隣の部屋に居を構えている。部室に居た人数は五人。写真部はそれなりに実績があり、OBにはちょっとした有名人もいる。
当然ながら学校側の覚えも良い為かなり設備が整っていた。
「みんな聞いてくれ。紛失した例の写真……ミス研部が探すのを手伝ってくれることになった」
竹脇の紹介に緊張の色を見せるシジマ。その頼りない容姿も加わり、写真部の面々は怪訝な表情を見せている。
「大丈夫なんですか、部長?」
写真部員の一人、眼鏡の二年女子が竹脇に何やら確認を始めた。
「大丈夫だ。見付け次第俺に渡してくれる様に約束してある」
「でも……」
「彼……真庭君自身は悪い人間じゃないと思うよ。それに城島の推薦だから」
「城島先輩の……分かりました」
あの城島の推薦で何故大丈夫なのかとシジマは首を傾げるが、ともかく信頼はされたらしい。もっとも、シジマとしては信頼して欲しかった訳でも無いのだが……。
「そういう訳だから彼……一年の真庭君に皆も協力して欲しい」
「はい」
「分かりました」
「それで……真庭君。先ずどうする?」
余所様の部室に連れて来られた上に注目され緊張するシジマだが、厄介事は早く終わらせたい。この際少しばかり気合いを入れようと覚悟した。
「そ、それじゃ……先ず確認を幾つかさせて下さい。部から消えた写真ていうのはフィルム式ですか?デジタルですか?」
全体的な質問は竹脇が、個人の質問にはそれぞれが答えることになり、この質問には竹脇が対応した。
「デジタル式だよ。無くなったのはプリントアウトした写真だけじゃなくメモリーカードもなんだ。だから現物は見せられない」
「そうですか……無くなった日って確実に分かります?」
「大体六、七日前──五月二十五~二十六日の間だ。六日前は一応写真もメモリーカードもあったのは確認している」
「正確な時間は分かりますか?」
この質問には即答出来ず写真部員は各々の記憶を辿る。先ず答えたのは部長の竹脇である。
「確か俺が確認したのは一週間前……五月二十五日の夕刻六時頃だよ。メモリーカードと写真はケースに入れてこの強化ガラスの棚に仕舞ってある。勿論、鍵を掛けてね」
「そんな面倒なことをしてるんですか?」
「メモリーカードは部費……つまり備品だから。それに学校の生徒のプライバシーが入っているだろ?個人で撮影するものとは別途のメモリーカードで、飽くまで学校に関わるものだけを棚に仕舞ってあるんだよ」
「へぇ……」
竹脇に続き答えたのは先程の眼鏡の二年女子。名は片岡ルミ……写真部副部長だ。
「私は部長より後に棚を開けたわ。同じ日の六時十分過ぎね。私より後はいない筈。あの日は私が鍵を職員室に返したから」
「じゃあ残りの皆さんは?」
「少なくとも一週間前は私が最後よ。六日前の放課後には無くなっていたらしいわ」
「らしい……?」
「最初に気付いたのは六日前……日比野さん」
二年の日比野シノブは六日前、一番早く部室に到着した。
写真部は貴重品が多い。新入部員の為にカメラも置いてあり、周辺機器も高価。その為部室には必ず鍵が掛けられている。
シノブはその日職員室から鍵を受け取り部室へ。鍵を開け中に入るとガラス棚が僅かに開いていたのだそうだ。
「それって何時頃ですか?」
「午後三時二十分頃ね。職員室で緒方先生から鍵を受け取って部室へ来たのよ」
「つまりその間に紛失した……若しくは」
「何かな?」
「いえ……何でも……」
第一発見者は第一容疑者でもある。しかし、先入観は捨てなければならない。
「他の人は?」
「俺は石田ってんだ。俺はその日は四時頃に来たんだが、もう騒ぎになってた。因みに前日は用があって部活を早めに上がった」
「私は高松よ。一週間前はシノブちゃんと一緒に行動してて……ね?」
「ええ。それはお互いに証言するわ」
「六日前は三時四十分過ぎね。確か掃除当番で……」
部長の竹脇以外は全員二年生。と思いきや、実はもう一人居るという。
「今休んでいるけど、一年生が一人いる」
「じゃあ、全員で六人の部員?」
「そうなるね」
「休んでいるのは病気ですか?」
「そう……病気……なんだろうな」
「?」
竹脇の言い回しが少し気になったが、大体全員の情報は聞き出せた。しかし、まだまだ足りない。
「紛失した写真……メモリーカードもですね。中身は学校行事とのことですが、何が写ってたかご存知の人は……?」
「写真は普通の部活動の光景だよ。メモリーカードは一人一つづ。紛失したのは学校を休んでいる赤坂という男子生徒のものだ」
「じゃあ中身は……」
「運動部の活動だろうね」
「そうですか……。あ……顧問の先生は紛失を御存知なんですよね?」
「勿論。学校側にも紛失届出はしてあるよ。ただ、卒業アルバムや行事の写真は他の部員のデータで事足りるから困らない。多分真剣には探さないだろう」
「う~ん……」
六日前に学校で紛失した写真が見付からないのは、見付からない場所にあるか見付からない様にされているかの二つ。
但しそれは写真部の部員が嘘を吐いていない場合だ。
そこでシジマは、質問を投げ掛けた。
「皆さんは何か大きな賞とか狙ってます?」
「うん?何を……」
「お願いします。答えて下さい」
即答したのは日比野シノブだった。
「私はプロを目指してるの。大きな賞は足掛かりになるわ」
「自分の写真に誇りを持っているんですね?」
「ええ。勿論」
「他の皆さんはどうですか?」
「俺も一応プロを目指してるよ」
遅れながらも部長の竹脇は答える。が、他の部員は飽くまで趣味の範疇らしい。
「休んでいる赤坂君は?」
「アイツはスポーツカメラマンを目指していたけど……」
「そうですか。これで皆さんに聞きたいことは終わりです。ありがとうございました」
「え?もう良いのか?」
「はい……あ!それと一つお願いがあります」
「何だ?」
「部員の一人に協力して欲しいんです。そうですね……記憶力の良い人だと助かります」
竹脇以下部員の全員が一人の少女に視線を向けた。
「日比野。頼めるか?」
「………はぁ。分かりました」
長い黒髪の少女……日比野シノブは、少し不快そうな表情を浮かべつつ承諾する。そこにはシジマ同様に早く問題を終わらせたいという意図が含まれていた。
「スミマセン。あ、写真とか自由に撮って構いませんから、一緒に行動をお願いします」
「そう?じゃあそうするわね」
「では皆さん、結果が出たら報告します。失礼します」
シジマはシノブと共に部室を後にした……。残された部員達はそれを確認し一斉に話を始める。
「あんな頼り無さそうな奴で本当に見つかるんですか、部長?」
「分からない。でも上手く行けば赤坂が学校に来ない理由も……」
「私達の部の為にも真相に辿り着いて欲しいですね……」
写真部の思惑が何なのか……今のシジマには思いも寄らないだろう。が、真相に辿り着けばそれは自ずと明らかになる。
そんなシジマは肩を落としトボトボと廊下を歩いていた。
「どうしたの、真庭君?」
先程、写真部でのハキハキした様子とあまりに違うシジマにシノブは心配になったらしい。
「いや……僕、探偵じゃないから見付かる保証はないんです。なのに色々聞いたんでご迷惑だったかなぁ、と」
「それはあなたが気にすることじゃないわ。頼んだのはウチの部よ」
「そうですか?でもなぁ……」
「何かあるの?」
「結論から言えば写真は盗難ですよね?……それを追求するのが……」
盗難の犯人を見付ければその相手を社会的に追い込むことになる。所謂吊し上げ……事勿れ主義のシジマには気が重い作業だった。
「何で僕がこんな目に……」
「それは私の台詞よ、真庭君。何で私まで巻き込まれている訳かな?」
「ご、ごめんなさい……」
「……。まぁ良いわ。今更何を言ってもあの人達は受け入れないでしょうし」
「やっぱりそうですよねぇ~……ハァ。どうしよう……」
こうして『消えた写真』を探す二人の物語は始まったのだ。
「……取り敢えず職員室に行きます」
「職員室?」
「はい。……ところで写真部の顧問というのは……」
「世界史の市村先生よ」
「………」
「どうしたの?」
「いえ……分かりました。とにかく行きましょう」
次は職員室。シジマが話を聞く間、シノブは職員室周辺で写真を撮影して待つことになった。
「失礼します」
中に入ると教諭が入り口付近で雑談していた。その一人はシジマのクラス担任・鹿島だ。
「お?どうした、真庭。珍しいな」
「鹿島先生……実はミス研部の部長命令でミステリーを探している最中なんですよ」
「そう言えばお前、ミス研部だったか。城島のヤツ、また無茶を……」
「それで写真部の紛失事件の話を聞きに来ました。顧問の市村先生というのは……」
「奥の窓際……あの白衣がそうだ。あまり御迷惑にならないようにな?」
「ありがとうございました」
去り際に女性教諭から『女の子みたい』という声が聴こえたが誉め言葉ではないのでそそくさと移動。
窓際に居たのは白衣で眼鏡の痩せた男だ。
「写真部顧問の市村先生ですか?」
「ん?そうだけど……何だい、君は?」
「ミステリー研究部一年の真庭と言います。実は部活動の一貫で写真部が紛失した写真の捜索をしようかと……市村先生が顧問ということで許可を貰いに来ました」
眼鏡のズレを直した市村は困った様な視線をシジマに向けた。
「紛失した写真の件は些事だよ?」
「だからですよ。大した事態じゃないからミステリー研究部の活動になる訳です。見付からなくても問題にならないし、紛失物捜索で役に立てれば我が部も評価が上がる。それに竹脇先輩から依頼されたので」
「竹脇が………そういうことなら構わないよ。ただ、余り騒ぎ立てるのは止めてくれるか?写真部の評価が落ちる」
「勿論です。何か分かっても他言はしない約束ですので……ところで」
今までは只の前振り。本題はこれからの質問であることを市村は当然知らない。
「写真部の鍵って普段先生がお持ちなんですか?」
「いや……ホラ。あそこに鍵を掛ける場所があるだろ?部活をする際は教員が渡すんだ」
「ということは、誰かが勝手に持ち出しても分からないんじゃ……」
「通常は職員が誰かしら居るから生徒は持ち出せないよ。緒方先生の席の背後だし」
「でも、先生なら誰でも鍵を使えるということですよね?」
この言葉を聞いた市村教諭は明らかな不快感を見せる。
「君は教師を疑っているのか?」
「いいえ。僕は全ての可能性を確認しているだけです。部員、顧問、生徒、教師、内部、外部、故意、過失、記憶違い等を問わず全て情報として集めてるだけです」
「だが、教師も疑っていることには違いないだろう?」
「では生徒だけを疑うのは良いんですか?」
「そうは言っていない」
「化学の先生なら分かると思いますが、あらゆる可能性を並べてから絞るのが一番間違いが少ないんです。そこで理由を付けて除外すると先入観から狂うこともあります。先生達を疑っているんじゃなく、全部等しく疑っている……それは悪いことですか?」
シジマは全く表情が変わらない。少し微笑ましい程の愛らしい笑顔で淡々と語る姿は逆に異質な印象を受ける。市村は僅かに背筋が寒くなった。
「……。もう良い。とにかく、写真部は我が校の中でも期待されている。あまり迷惑なら対応を考えるからそのつもりで」
「分かりました。では失礼します」
シジマはそのまま職員室を出ると盛大な溜め息を吐いた。
先程の市村の反応は明らかにシジマを良く思っていない。進級した際の世界史の授業で睨まれそうだ……。
「真庭君」
「ひゃい!」
「……ひゃい?随分と饒舌なのね、君は」
「き、聞いてたんですか?」
「丁度、職員室前の花壇で写真を撮っていたら聞こえたのよ」
「ア、アハハハ……僕も必死なんですよ。普段はあんまり喋りませんし」
「嘘臭いわ」
「うぅ……本当ですよ……」
ガックリと肩を落とすシジマに呆れるシノブ。教師相手にあれだけ弁が立てば普段大人しいなど信じて貰えないは仕方無い。
「それで……今度はどうするの?」
「今日はもう十分です。日比野先輩はもう部活に戻って良いですよ」
「君はどうするの?」
「もう少し聞き回ってみます。こんな面倒早く片付けたいですし……」
「……。引き受けた以上私も付き合うわよ。元は写真部の問題だし」
「でも、遅くなりますよ?それだとその……」
「何かな?」
「その……せ、先輩みたいな可愛い人は帰り道が危険じゃないかと……」
「…………」
沈黙したシノブ。しかしそれは照れているからでも年下に可愛いと言われ怒っているからでもない。
「……せ、先輩?」
「いえ……危険で言うなら『美少女顔の小柄な少年』の方が危険度は高いと思うの?マニアックだしレア度も高いし……」
「………えっ?えぇっ!?」
「つまり、あなたの方が危険だから大丈夫」
「だ、だだ、大丈夫じゃないですよぉ!」
結局その日は手早く情報を聞き回り、素早く切り上げたのは言うまでもない。
シジマが城島から押し付けられた写真部の依頼は、この日の行動で半分を達成。翌日、新たな行動へと移る……。




