君が助けてくれるから
2話目を読んでくださりありがとうございます!
文才0ですが、楽しんでくださればうれしいです。
桜歌は幼い頃から『魔法師』に憧れていた。
テレビやドラマ、本などを見ていても、魔法師はとても格好良く映っていた。憧れるな。と言う方が酷というものだ。何せ、「人を助ける。守る」という行為をしていたのだ。
5歳になれば魔法の力に目覚める。誕生日が待ち遠しくてたまらなかった。
幼い頃から、両親に「お父さんやお母さんを守るんだ!」と言っていた。両親も「本当?桜歌が大きくなるのが楽しみね。」「ああ、父さん、頼りにしているよ」と言ってくれていたのだ。
しかし、現実は残酷だった。世に1割といない『非魔法師』として生まれてきてしまったのだ。
それだけに止まらず、桜歌はとても身体が弱い子供だった。激しい運動やストレスを感じるだけで、吐血してしまう程にまで。
そうして知ってしまった事実。自分には魔法が使えない。お父さんやお母さんを守れない。人を助けられない。身体も弱い。自分は、役立たずな人間だと齢5歳で悟ってしまっていたのだ。
両親は「そんなことない。お前が生まれてきてくれただけで、父さんたちは幸せなんだぞ」と言ってくれた。嬉しかったが、それだけでは、自分の絶望を拭い去ることなどできなかった。
非魔法師という事実を知ってから数日後、桜歌はストレスからよく吐血していた。両親は「今日は保育園お休みしよう?」と言ってきたが、桜歌は「ううん。ほいくえんにいきたい」と断固として行こうとしていた。
理由は簡単だ。「今まで通り」にしていないと心が持ちそうになかったのだ。
そんな吐血をし、血が少し足りない状態で保育園に行った桜歌は階段から落ちそうになったのだ。「ああ、ぼく、しぬのかな。でも、いっか…」などを考えながら次にくるであろう衝撃の前に目をつぶった。
ぽすっ
思っていたよりも痛くないなと思っていたら男の子が僕の抱きとめてくれていた。
「…え、と…ありが…とう」
男の子「え?ああ、えっとだいじょうぶか??」
うん。だいじょうぶ。と答えると男の子は笑顔になった
「そっか!ならよかった!おまえどんくさいやつだな~!」
ちょっと傷ついた、けど助けてもらったのだ。
「うぅ…でも、ほんとうにありがとう」と笑顔で言った。
男の子「っ!ならいいんだよ!おれ、しょうき!」
おまえは?と聞かれ僕は
桜歌「ぼくは、おうかだよ。」と言った。
因みに、この時の桜歌の恰好は可愛らしい白いワンピースに薄いピンクのカーディガンだ。
体の弱い幼い子に女物の服を着せて長寿を願う。という習慣があった故郷をお持ちの母が桜歌に女装させていたのだ。
「じゃあ、おうか!いまからあそうぼうぜ!!」
「え?う、うん!」
それから僕としょーちゃんはよく遊ぶようになった。
ある日
「おうかみたいに、よわいおんなはおれが「まほうし」になってまもってやる!」
と遊んでいる最中に焦鬼は言った
僕は、絶望はしていたが、まだ、もしかしたら、という米粒程度しか持ち得ていない希望だが、『魔法師』になることを諦めきれていなかった。それに、今、とても不名誉なことを言われたので、
「え?やだよ。ぼくも「まほうし」になるもん。それに、ぼく「おとこ」だよ?」
「え?…」
「え?……えええええええええええええ!!!!おま、おまえっお、おとこだったのかよー!?」
何故だかものすごく驚かれた。
先生「おうかく~ん!お母さんがきたよ~!」
「あ!おかあさんがきたみたい!またね!しょーちゃん!」
そういって僕は家に帰った。
翌日
焦鬼はイライラしていた。だまされたと。男に一目ぼれしてしまったと。男だと気づけなかった自分に。
桜歌とは組が違うから、いつも一番最後の帰る前に遊んでいた。
帰る前になり、焦鬼は、一層イライラしながら、桜歌を探していた。そして、園の裏側に居る桜歌を見つけた。
「おい。なんでこんなとこにいんだよ。さがさせやがって!」と少しきつい言い方しながら言った
桜歌は焦鬼に気づき後ろを振り向いた。焦鬼は驚愕した。そこに居たのは、もちろん桜歌だが、いつもと違って口を押えていた。その押さえている手の隙間から、あかい、あかい水が流れているのを見てしまったのだ。
「し、しょうーちゃん…ごめんね、ちょっとま、ごふっげほっげほっつ…」
桜歌の口から更にあかい水が流れる
焦鬼はお転婆な子供だ。よくこけたりすることもある。だから、その、「あかい水」が何なのかわかっていた。
ちだ。血…だ。
「お、おまえなんで、どうして…そんなに「ち」がでてるんだよ!!」
焦鬼は焦っていた。初めて、人が、血を吐いていることに。それも、大量に。答える程の気力がないことなど、見ればわかったのに。
「ごほっ…ぼ、くね。からだがよわいんだ…げほげほ…。」
そんなのみればわかる!焦鬼は大きな声でそういった
「お、おまえっ!そんなからだで、「まほうし」になるっていったのかよ!!」
そう、本当に不思議だったのはそこだ。こんなにも身体が弱いのに、こいつは、桜歌は、「魔法師になる」と。以前言っていたのだ。
「な、ごほっ…なりたいよ…?」げほげほ びちゃ… あかい水の、血が流れ落ちる音がする中、焦鬼は思った。
《ああ、だめだ。こいつをひとりにしちゃだめだ。おれがまもらないと。》
そう強く思った。
先生「焦鬼くん?どうしたの大きな声をだし…!?桜歌くん!?どうしたの?!大丈夫!?」
焦鬼が先程「そんなのみればわかる!」と言った声が聞こえた先生が駆けつけてきたのだ。
その日桜歌は救急車に運ばれた。
その日から、隠形 焦鬼は山野 桜歌に対して、とても過保護に接していた。
小学校へ入学し焦鬼とはクラスが離れたが登下校は一緒にしていた。
桜歌は周りに、自分が魔法を使えない「非魔法師」であることがバレ、一部からいじめられた。 最初の頃は靴を隠されたり、教科書をゴミ箱に捨てられていたりなどの、まだ小さなことだったが、2年に上がる頃には、殴られたり、蹴られたりなどの、暴力を受けるようになっていた。
そして、2年半ば、焦鬼に殴られたりなどの暴力を受けていることがバレた。
「おおい…桜歌くんはなあんで、俺にそのことを黙っていたのかなあぁ??」
とってもすごい顔で僕の顔を見ていた。僕はつい顔を逸らせてしまった。
「へぇ~いい度胸してんなあ、おい。何を考えているのかな~??」
しょうちゃんお顔が凄いことになっていますよ。なんて口が裂けても言えない。
「え…と、べつに…その、なんにもの…」
「嘘つくんじゃねーよ!!どうせてめーのことだから『しょうちゃんお顔がすごいことになっているよ」とか考えてたんだろ!ああ!?!」
すごい。なんでわかったんだろう。
「とにかく、てめーにその傷負わせた野郎はどこのどいつだよ!!教えねーとおまえんとこの母親と父親にいうからな!!!」
うっそでしょう!?
「え?え?じ、冗談だよね??絶対にやめてよ?お母さんたちにはぜっったいにいわないでよ?!」
「はっやっぱりな!お前隠してたんだろ!そら、言われたくなかったらさっさと教えろ。」
なんという脅し文句。僕は渋々答えた。
「ふーん。ふむふむ。なるほどね~」そう言ってしょうちゃんは不敵な笑みを浮かべていた。
「な、なんにもしないでね?僕は大丈夫だから…」
にやり。しょうちゃんは何も言わず、僕ににや顔を提供して無言で家までの帰路を歩いた。
翌日
しょうちゃんは用事があるから先に行くと言っていたわ。と、しょうちゃんのお母さんから聞いた。
僕はとても嫌な予感がしたが、走って学校に行くわけにはいかないので、一歩一歩、重い足で学校に向かった。
予感は的中
学校に着いて早々、しょうちゃんが僕に暴力を振るってきた人たちを思いっきり泣かせていた。
可哀想に…僕は、僕をいじめてきた人たちを見て憐れんだ。
実は僕がいじめられていた原因は二つあった。
一つは言わずもがな、僕が「非魔法師」であったため、格下に見られていたから。
もう一つはしょうちゃんだ。
実はしょうちゃん、結構なイケメンなのだ。
しかも魔法も水魔法使いで、とても鮮やかに操り膨大な量の水を扱うのだ。つまり、顔よし。魔法も強い。勉強運動もできる。という三拍子というか四拍子がそろっているのだ。それが、こんな女装男子で、顔もぱっとせず、勉強は普通で運動はできない。身体の弱い男が独り占めしてしまっているのだ。
学年のマドンナが「焦鬼くんかっこいい、けど、なんで、私には目もくれずあんな奴と一緒にいるのよ!」的な感じで、外の男子たちに僕の事をいじめてくれとお願いしていたようなのだ。
つまり、原因は、僕の身体が弱いのもあるのだが、しょうちゃんのせいでもあるのだ。
ああ、ほら、しょうちゃんに怒ら(軽蔑さ)れて、学年のマドンナが泣いてしまっているじゃないか。
「もう、こんなことしないでくれるなら。僕は君を許すよ」
そういうと学年のマドンナこと霧島じゅんこちゃんは「ひっく…許してくれるの?、、ご、ごめんなさい!!本当に、ごめんね…私、なんでこんなことを…」と泣きながら答えた
「うん。大丈夫。大丈夫。ちゃんと謝ってくれてありがとう。泣かないで。ね?」
そう言いながら僕は彼女を抱きしめて背中をポンポンした。
他のみんなも下を向いていた。ただ一人を除いて。
焦鬼「おい!!!桜歌!なに許してんだよ!!そいつらは俺がぶっころして「なにいってるの!きちんと謝ってくれたし、反省もしているんだよ?だったら僕はもう満足だよ。」っ…あ、でも…」
僕は平気だよ。
そういうとしょうちゃんは大人しくなってくれた。かわりに僕と彼女を引き離して、彼女の耳に小さく何かを言った。
「次こんなことしたら、桜歌にばれないようにお前を殺すからな」
霧島「ひぃっ」
何故か彼女はおびえていたけど、僕にはしょうちゃんの声は聞こえていなかった。
「しょうちゃん。助けてくれてありがとう。でも、あんまりひどいことはしないでね。」
僕はいつも君に助けられてばかりだなと、僕は笑っていった。
それからの僕の学校生活は穏やかなものだった。
ここまで読んでくださりありがとうございます!
まだ、悪魔がでてこないのはなんでだ~とか思われた方には、とても申し訳ないです。
悪魔さんはもう少ししたらでてくる…はずです。