第9話
俺と赤髪はお互いのプロフィールデータを登録した。
俺のフレンド欄には赤髪のデータ、赤髪のフレンド欄には俺のデータが表示されている。
「リバーアイランド? キミ、もうちょいかわいい名前があったろうに。魔法使いってのも意外だ。てっきり剣士かと思ってた」
「悪かったね。名前は適当。魔法使いに決めたのも適当。刀はNPCから奪っただけ」
「こだわりとかないのか?」
「キャラ作成には時間を費やした。とにかく見た目が全てだ。貴様が揉んだ胸もこだわりのひとつだ」
胸を張って自慢してくるな。さっきはあんだけモジモジ照れてたじゃないかよ。動くたびに揺れてくれるのはグッジョブだけど。
「リバーアイランドじゃ長いから略で呼ばせてもらうぞ。というわけでよろしく、赤髪」
「略してないじゃない。貴様は髪の色で呼ぶのか!」
「お互いに分かればいいんだよ。名前はこだわってないんだしな」
「勝手にすれば! 砂糖」
「砂糖? 俺の名前はシュガーだ」
「一緒でしょ。シュガーなんて適当の極みだし」
「全国のシュガーに謝りやがれ!」
「謝れば許してくれるの? へぇー。甘い甘い」
赤髪め。俺を完全にバカにしてやがる! 確かに名前は適当に決めたけど。
「俺は甘党だ。甘いだなんて、褒め言葉にしかならないぞ」
「あら、それは朗報ね。じゃあ何度でも言ってあげる。甘い甘い甘い甘い甘い甘い甘い甘い……」
よくぞまあ噛まずに早口で言えんなあ。すごーい。
俺は早口苦手だよ。苦手苦手苦手苦手……。