第7話
俺は草原で殺される運命だったんだな。フフッ。
この大自然のベッドで死ぬのは本望ではないが仕方ない。かわいい子に声をかけたのが間違いだったんだ。つまり自業自得。
「最高の殺し日和だ。貴様もそう思わない?」
「思わない。そもそもゲームとはいえ、死にたくない」
「死にたくない、ね。今まで殺してきた9人も同じことを言ってた。今も脳裏に浮かぶ」
このままじゃ殺される。ゲームで死んでも痛くも痒くもない。いや、痛みはあるんだけど。痛みまで再現しなくてもいいってんだ。
こうなればログアウトしかないな。掌をかざしてボードを呼び出してっと――。
「そこ! 勝手にログアウトしようとすな!」
「どこでログアウトしようが俺の勝手だ」
「あたしの胸を揉み逃げるつもりか!」
「揉み逃げだなんて言うなよ! キミが勝手に付いてきたせいだろう」
「それは貴様が逃げだしたからだ! あたしのマーキングから逃げられると思わないことだ!」
マーキングだ!? やっぱり俺に仕掛けてたか。マーキングをされちゃあ、ログアウトしても無駄だな。
「じゃあさっさと済ませてくれ。俺を殺せれば気が済むんだろう」
もう抵抗するのも面倒だし、サクッと殺されてやるとするか。痛いのは嫌だが仕方ない。
「いい覚悟だ」
覚悟じゃない。ただの諦めだ。俺の自由のために死んでやる。