第6話
まだ頬が痛い。きっと赤く腫れ上がっているに違いない。
赤髪の胸を揉んでしまったのは悪いと思ってる。意外に柔らかくて気持ちよかったのは否定しない。
けどやっぱり、気に入らない。この部屋は俺の部屋なのに、勝手に入ってきた方が悪いはずなのに。
「あたしに文句あんの」
「ない」
どうして俺が正座をさせられ、赤髪に上から見下ろされなきゃならないんだ。おまけに頬に足の親指を押しつけられている始末。
一部のやつからしたらご褒美かもしれんが、俺にとっちゃあ苦痛でしかない。俺にそんな趣味はない。
「あたしの胸を揉んどいて、生きて帰れるとでも思っているのか?」
「街中でPKはできないぞ」
「フィールドで殺す。あたしは貴様を殺したい」
うわー。完全に目がギラっちゃってるよ。ヤバいヤバい。現実でなら職質されちゃうぞ、多分。
それにPKは基本的に駄目だ。できなくはないが駄目だ。3回殺すとBANだ。
「やめておけ。ゲームでも人殺しは駄目だ」
「今さら怖くない。もう4代目だ。あたしのPCは」
「はっ?」
「既に3回BAN済みだ。貴様が記念すべき10人目だ」
なにそれ? BAN上等ってやつ?
えっ? 本当に殺す気なのか。草原に移動してるんだけど!?