第57話
便利なもんだぜ瞬間移動。あっという間に城内だ。「邪魔をする」の一言で堂々と入ってしまう赤髪には感服したよ。肝が据わってる。
「どこにもいないようだな。だとすれば、お約束か」
赤髪が床をコンコンと踏み鳴らす。
あーなるほど。地下ってわけだ。確かにお約束かもだ。どこかに地下への入口があったりするんだ。
「見つかるといいけどさー」
「地下があるかも定かじゃないッス」
「誰が探すと言ったか。向こうに開けさせるんだ。あたしも確信はないからな」
開けさせるだと? いったいどうやって開けさせる気なんだ? そんな素直に開けてくれるなら苦労しないぞ。
「レッドウェル! あたしは、貴様の正体を知っている! バラされたくなければ案内しろ!」
はあ!? レッドウェルの正体? そんな見え見えな嘘を信じるとは思えないぞ。
ん? ガチャッと音がしたような……って階段が出てきたー!
「あ、あんな嘘を信じたってのか!?」
「何を言っている? あたしは嘘など言ってない。レッドウェルの正体に心当たりがあるのだ」
「リバー姐、行きましょう。罠かもしれないけど、行かなくちゃ始まらないさー」
「あちしの足を引っ張るなッス、リバー」
「せいぜい大口を叩いていろ。あたしに酔いしれても責任はとらん」
RPGで例えるならボス戦だぞ。きちんとセーブをして慎重に進むべきなんだぞ。なのにこの緊張感のなさはなんだ! 緊張しているのは俺だけか?
「何をボサッと突っ立っている。早く行くのだ。レッドウェルに殺される前に、あたしに殺されたいのか?」
「言われなくても行く! 精神統一をしてたんだ!」
俺の肝は小さいんだ。俺は臆病で慎重なんだ。心の準備をする時間くらいくれてもいいだろう! ああ~、脚が重い。




