第51話
260点――!? 全然届いてないぞ。俺のパンチ力とはいったい。まあ、これが現実なんだろう。受け入れよう。
さーてお次は……フリースローでもやるか。1分間にどれだけシュートを決められるかを競うゲーム。バスケなんて体育以外じゃやらないけど。
「この距離なら余裕余裕」
フン! フン! フン! どういうことだ! 1つも決まらない! あと10秒!? コナクソー!
「チクショー! まさかの0だなんて!」
ここまで運動音痴だったのかと地団駄を踏む。悔しい悔しい悔しい悔しい。たかがゲーム、されどゲームだ。
「俺には向いてないのかも。そろそろ結の方も決着がついてるだろう」
結のいるクレーンゲームコーナーまで戻ると、どういうわけか人が群がっていた。何事だと思っていると、大きな歓声が沸き上がる。
「あたしが本気になればこんなものだ。どうだ参ったか!」
ゲーセンのロゴが入った袋を高々と掲げて勝ち誇る結がいた。あれだけ苦労していたのに。袋いっぱいに景品が詰め込まれている。
「やれやれ。どうやら、とことん俺は結にゲームじゃ敵わないようだ」
「お! 待っていた始起! ほら見るがいい! あたしの勝利の証を!」
「よっ、よかったじゃん! なんだか俺も誇らしい」
嬉しいのは分かる。興奮するのも分かる。けどそんなに顔を近づけることはないだろうっ!? まだ周りにはギャラリーがいるんだぞ。
「あたしの勝ちだー!」
「「うおおお――っ!!」」
凄い熱量……一体感。これがゲームの力か。
結は笑顔を俺に向けてくる。ヤバい。こいつは俺の心も獲るつもりか? それはないか。




