第5話
データを出せだ? なんで俺のデータを見せなきゃならないんだ。俺のことを嫌っているやつなんかに見せるわけないだろう。
「断る。キミに見せる気はない」
「はあ? 貴様は何を勘違いしている。貴様に拒否権はない。あたしの機嫌を悪くしたんだから」
ざけんな! これ以上付き合ってられるか!
ここはさっさとおさらばだ。行き先はホテル。こいつの言いなりにはならない。
「俺のゲームの邪魔すんな! おさらばだ」
※ ※ ※
さーて。ホテルに到着したし寝るとするか。それとしばらくは誰かに話しかけることもやめとこう。
部屋の鍵を受け取ってささっとダッシュ。扉を開ければそこは天国だ。
「ふかふかベッドにダイーブ!」
そうそうこれこれ。現実でもゲームでもベッドの柔らかさはサイコー。
「あ……ん……っ!」
ん? なんか色っぽい声が聞こえたような?
それにベッドの感触とも微妙に違うような?
「ちょ……っ! ……っめ!」
なんだか嫌な予感がする。この目を開けたら最後、俺は確実に殺される予感がする。絶対にこれ、ベッドの感触じゃないもん! 開けたくない開けたくない開けたくない――。
「――あ、あのー?」
「このド変態ぃぃ――っ!!」
ゴホッ!! グハッ!!
なんで赤髪がこの部屋に!? どうして俺の行き先が分かったんだ!? ち……チクショー。