第44話
あれか。デカデカと『赤井森夜トークショー!』と書かれてる。もうかなりの人数が集まってるあたり、その人気は確かなものなんだろう。
「老若男女問わず来ているな。やはりドラマの影響力は計り知れない。あたしも観ていたからな」
「俺は観てないんだ。あとからワイドショーとかで特集されて知ったくちだ。番組のトークコーナーで、ゲーム好きと言っていたのは記憶してるぞ」
「貴様の頭にはゲームしかないのか」
「それは誤解だ。ゲーム以外の娯楽にも、異性にも興味あるぞ」
俺は健全だ。勉強嫌いだけど健全だ。身体を動かすのは嫌いじゃない。
というか結。なぜキミは照れている。どこに照れる要素があったんだ。そういう思わせ振りはやめてくれ。
「「きゃあああ――!!」」
会場に響き渡る黄色い声援。颯爽と現れたイケメンは、白い歯を溢しながらウインク。サラサラと靡く金髪は眩しい。髪は染めているって言ってたっけ。
「凄い声援だな。耳に響く」
「一緒に黄色い声援を送ればいいじゃないか」
「送ってなんになる。そんなことに喉を酷使したくない」
酷使って……オーバーすぎるだろう。自分の熱い想いを声援として送るのをそんなことって酷くないか。
「「きゃあああ――!!」」
進行役のお姉さんからマイクを受け取っただけでこの声援。そのうち失神者が出るんじゃないか。
「どうも皆さん。私、赤井森夜。皆さんの心を魅了しにやって来ました。思う存分魅了されてください」
「「きゃあああ――!!!!」」
頼むぞ。誰も死なないでくれよ!?




