第41話
新技……だと!? ただでさえチートだってのに、さらに強くなったってのか! そんなの反則だろう!
俺は極力戦闘を避けているからそうそう技は増えない。技を覚える条件もタイミングも完全なランダム――というか運。レベルとか能力値とかの概念がゲームにないから、経験値を稼ぐって作業がなくて楽は楽なんだけど。
「きっとモンスターを倒しまくったからに違いない!」
赤髪はああ言ってるけど、極端な話、俺がモンスターを1体倒しただけで新技を覚えることだってあるわけで。どれだけ頑張って戦闘を繰り返したとしても、それがこのゲームでは何の反映もされない。だから、あくまで戦闘も強制じゃないし、義務でもない。やりたいやつがやればいいんだ。
「見せてみるッス、リバー。あちしを驚かせるほどのものか刮目してやる」
「そうだ刮目せよ! あたしの技に見惚れるがいい!」
意気揚々と家を飛び出すのは結構だが、俺は見たいだなんて言ってないぞ。さっきまで充分に魔法を堪能させてもらったし。俺は座って待ってよう。
「始起、何をしている。早く来い」
赤髪の視線が怖い。俺に選択の余地はないのか。仕方ない。俺も出るとするか。
※ ※ ※
ククク。遂にあたしの新技を披露するときがきた。草原で呑気にしているモンスターたちに喰らわせてやろうではないか!
ああ! ボードの技一覧に燦然と表示されたNewが眩しい! 技を使った瞬間に消えてしまうが、これもまた醍醐味というもの。
「刮目せよ! リバーアイランドの進化を!」
おお! 身体が光に包まれている。この技専用の装備ということか。徐々に光が消えていく――!?
「きゃっ、きゃあ!?」
ちょ、ちょっと待て! なんなんだこの格好は!? 胸と腰回りに赤い鋼鉄を身に付けているだけで、あとは丸見えじゃないか!! お尻は隠れてる……でっ、でも……こんなお腹とか脚とか丸見えじゃ恥ずかしいっ!!
「ほう。最低限の隠すところだけ隠した防具ッスか。まあ、ほとんど守ってないけど。あちしのことを言えないねえ?」
ムカつく! ここぞとばかりに! しかしこれではダメージを一気に受けてしまうのでは?
「リバー姐、とにかく動いてみたら?」
「う、うむ」
ベルウッドの言う通りだ。防御が薄いということは、攻撃や速さが増した可能性がある。そうでなければこの技は封印するしかあるまい。
イメージが頭に流れる。この通りにやれば発動するのか。ようし……狙いを定めて。
「ソード・レイン」
技名を唱えた。唱えたのに何も起きないな。やはり失敗技だったのか?
「赤髪! 上から! 上から!」
始起が叫んでいる。上だと? 上がどうしたというのだ。上を向いても青空が広がっているだけ――!?
「な、なんだあれは!?」
あたしが驚きの言葉を発したと同時にモンスターの悲鳴が草原に響き渡った。なんだか申し訳ない。これは別の意味で封印しなくては駄目か。空から剣の雨を降らす技、だとは。




