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第33話

 夏の風物詩として長年愛され続ている食べ物がある。食欲がないときでもツルッと手軽に食べられる。いったい何のことだといえば、そうめんだ。

 俺はそうめんを食べている。氷で締めた白いそうめんだ。めんつゆは濃いめ。この歳になって気づいたのだが、どうやら俺は、濃い味が好きらしい。ちなみに薬味はミョウガ。


「……飽きた……飽きたぞ」


 それが何日も続くと苦しい。見るだけで食欲が失せてくる。いくらつゆの濃さを変えようが、薬味を変えようが限界がある。


「ゴマだれは試したのか?」


 俺の向かいに座る結が問いかけてきた。なんで一緒にそうめんを食べているのか訊かれても困る。結の家では早々にそうめんに区切りをつけたらしく、まだまだ食べ足りないと押しかけてきたんだ。


「俺は苦手なんだ。ゴマ」


「なぜだ」


「甘ったるいんだよ。冷やし中華もサラダもゴマだれはかけない」


「変なやつめ。甘党ではないか」


「甘党でもだ。食べ飽きているところにゴマだれをかけられたら終わりだ」


 俺の家にはゴマだれはない。両親も妹も食べない。


「あたしは好きだ。あの甘さがクセになる」


「ミルクティーが嫌いなのに?」


「紅茶と一緒にされては困る。あたしにも好みはあるのでな」


 俺も結もお互い様ってことか。またひとつ結のことが知れたぞ。知ったからってなんだって話だけど。

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