第32話
刀と短剣じゃあ短剣の方が不利。相手の懐に飛び込めれば俺のペースに持ち込めるけど、懐に飛び込むまでが大変だ。
この勝負、俺が勝とうが結が勝とうがどっちでもいいんだが、本気でやらないとあとが怖い。本気でやるからには勝ちたい――って、どっちでもよくないじゃんか、俺。
「セイッ!」
「おっと!?」
いきなりの先制攻撃とは。相変わらず、まったく抜け目ない。居合いからの振り下ろしハンパないぞ。これが本物なら死んでた。
とにかく懐に飛び込まなきゃ勝ち目はない。一か八か動いてみるか。
「うおおお!」
とにかく突撃! 刀の範囲に入らないと短剣が泣く泣く。
案の定、結が刀を振ってきたぞコンニャロー。痛、痛、痛。
「威勢のわりに斬られてばかりだな。もしや本気でやってないな?」
結の顔が険しくなりやがった!? 疑われてるー。こちとら本気だっての! ゲームの武器は使えても防具は使えないのが痛い。気づけば黄色だし。このままじゃ負ける。
「へん! 俺はレディーファーストしたまでだ! けどそれも終わりだぞ。サービスタイムはフィナーレだ」
「強がりめ。この勝負、あたしの勝ちだな」
刀を鞘に納めたってことは居合いをするつもりか。いいだろう。超本気でやってやるよ!
「喰らえ! 必殺の――」
そう言いながらの短剣飛ばし! 我ながらナイスコントロール! まっすぐ結に飛んでいくぞ。
「こざかしい! ハッ!」
結の居合いで俺の短剣が防がれたが作戦通りだ。俺が待ってたのは隙なんだ。
「――押さえ込みだああ!!」
結が俺に気づいて刀を振るうよりも先に動きを封じてやったぞ! わーはっはっ! わーはっは……?
あれれ? 結の顔が赤くなってるぞ? 炎天下で身体を動かせば赤くもなるか。
「へっ、変態っ!! 白昼堂々、公衆の面前でなに晒しとんじゃい――っ!!」
「えっ? ……あっ!?」
俺は結の身体を砂浜に押し倒し、覆い被さる形になっている。しかも両手には結のBカップの感触が。水着の上からなのが残念だ。
「あっ、あたしにも心の準備というものがあってだな!? きっ、貴様がどうしてもというのなら場所を変えて――」
「――待て待て待て!? 俺はそんなつもりじゃ!?」
俺としたことが、この暑さにやられちまったみたいだぜ。フフフ。そうさ、夏のせいだ。……夏じゃなくてもだけど。




