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第31話
ゲーム同様に装置を装着して砂浜で向かい合う、俺と結。
いつもなら右耳側に軽く触れてログインするのだが、今は違う。俺は左耳側に軽く触れる。結も同様だ。
【ARモード】
機械的な声と共に俺と結はスキャンされる。ゲームと同様に掌をかざすと、透明なボードが出現した。
俺の身体の状態がボードに映し出されており、今は緑色に表示されている。これもゲームと同じだ。だが違うとこもある。一番の違いは、俺と結の姿だ。
「実体がないのに感触や重さがあるのは不思議だ。実際に斬ることができないのは残念だがな」
ゲームと同じ刀を装備する結。ゲームでは赤髪赤眼ポニテ美少女のリバーアイランドが使う刀。黒髪黒眼ストレート美少女の結が持っても様になる。
俺もゲームと同じ短剣を装備して構えた。ゲームでは金髪金眼イケメンのシュガーだが、現実ではごく普通の高1男子の佐藤始起。どことなく短剣の輝きが減っているような……気のせいだろう。
「1戦だけだぞ。どっちが勝っても文句なしだ」
「その言葉、そのまま返す」




