第30話
海の家という響きだけでお腹がすいた。いや、それは嘘。実際は匂いですいたのだ。ド定番の焼きそばの匂いに。あのソースの焦げた匂いがサイコーのなんのって! あ、ヨダレが。
「ヨダレを垂らすな。そこまで物珍しくもないだろ。次、あたしたちの番だ」
既にソース焼きそばは大量のストックが作られてあった。それなのに忙しくしているのは、やはり出来立てが望まれているからだ。かくいう俺も含めてだ。
「ソース。鉄板のお願い」
俺は店員に2パック注文する。この手の焼きそばは俺には量が少なくて。ついでに紅しょうがはたっぷり。
「ソース3。作り置きので構わん。マヨネーズをかける」
3パック!? 意外に大食いなんだなあ。何をどれだけ食べようが構わないけど。
「お待たせしました!」
店員が笑顔と共に焼きそばを渡してくれた。結構かわいい子だったからデレッとしてしまった。結のジト目が痛い。
適当なところに座って実食……うん、焼きそばだ。安心のソース味だ。これはペロリと食べれるぞ。
「始起。食べ終わったら腹ごなしといこう」
「腹ごなし?」
首を傾ける俺に対し、結がジェスチャーしてきた。
ええー。この炎天下でするのか!? トホホ。




