第3話
一瞬で街に到着。街並みは都会。ファンタジー感0。
ゲームくらい現実から離れたいが贅沢は言うまい。最初は街作りを主としたものを開発していたらしいから、その名残なのだろう。それに街は飾りみたいなもんだし。
実は、わざわざ街を歩かずともいいんだ。行きたい場所をボードから選べばひとっ飛び。楽々移動できるのだ。
「えーと……」
じゃあ何故わざわざ街に来たのかというと、街を歩いている人物と話したかったから。いわゆるNPC。
高性能AIにより、現実の人間と遜色なく会話することができる。これがなかなか楽しい。
「……ねえキミ。ちょっといいかな?」
「はあ? ウザッ! 消えてくれない!」
あれ? おかしいなあ? いくら高性能AIのNPCとはいえ、こんなに乱暴な言葉を使うかな?
「そんなこと言わないでさあ。俺とちょっと歩くだけでも構わないんだ」
「誰が歩くかクズ! ゲームでナンパとか終わってる」
「お、終わってる!?」
「これ以上あたしの邪魔すんならシバく! 気分転換で潜ったのに最悪! さーいーあーくー!!」
潜ったってことは――こいつはPCか!
くっそー! 赤髪赤眼のかわいい子だと思ったのに。しゃあない。ここはズラかろう。
「あはは。どうやら人違いだったみたい――」
「――待ちな。あたしの機嫌を損ねたんだ。それに見合うもんを出しな」
えっ! もしかしてこれはカツアゲってやつ!?