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第29話

 おかしいぞ。一向に海に入れない。いつまでも砂浜の上にいる。早く海に入りたい。


「ちゃんと丁寧に塗ってくれ。日焼けはしたくない」


「どうして俺が日焼け止めを塗ってやらなきゃいけないんだ」


「背中には自分じゃ塗れない。誰かに塗ってもらわなければな」


 結の背中に堂々と触っているがセクハラじゃないぞ。俺にやらしい気持ちはない。さっさと塗って海へダイブしたいんだ。


「はい。ちゃんと塗ったから大丈夫だろう。さーて、今度こそ海へレッツゴー!」


 もう俺は止まらない止まれない。そーれ! フー。生き返る冷たさだあ。

 おっ! 結も来たぞ。恥ずかしそうにしながらも入ってきた。ていうか身体を密着させてきた!?


「離れるな。あたしは泳げない。自慢じゃないが潜れもしない。あたしはか弱い乙女なんでな」


 俺の身体に結の胸の感触が! Bカップの胸が当たってる! さっきから俺に胸を当ててどうしたいんだ!?


「くっつかれると理性が飛ぶ! 俺だって男だぞ!」


「飛ぶなら飛べ。あたしを意識して飛ぶのは許す!」


 飛ぶ……飛んじまう……意識が。だんだん締め付けが強くなってるぞ……。


「しまった! あたしとしたことが!?」


「……殺す気か」


「すまん。つい、な」


 気がつけば膝の上。結の膝枕の世話になっていた。

 俺を心配そうに見つめる結。ヤバい。これはこれでアリだ。怪我の功名ってやつだ。グヘヘ。

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