第27話
夏休みである。夏の休み。夏が休みではない。暑い。
アロハシャツに短パンとビーサン。頭にはグラサンを乗っけてる。気分だけはハワイ。気分だけ。実際は自分の部屋にいる。もうすぐ結が来ることになっている。
「暑い。外は地獄だぞ、これ」
日本の道路は夏対策済み。昔は照り返しが半端じゃなかったらしいが、今のご時世そんなことはない。道路に転んで火傷なんてこともない。けどそれは道路の話。ギラギラ照りつける太陽に苦しむのは今も変わらない。
「始起ー。結ちゃんが来たよー」
「へーい」
階段を下りて玄関の扉を開けると、グラサンにマスクという怪しさ100%が立っていた。俺は反射的に扉を閉めた。
「閉めるなー!」
ツッコミのように扉を開けるなよ! 普通なら不審者として突き出すところだぞ!
「結、その格好はなんだ?」
「夏対策だ」
「それで出かけるつもりか?」
「無論だ」
「どうにかならない?」
「ならん。夏に訊いてくれ」
参ったぞー。この堅物女ー。なかなか自分を曲げようとしないからなあ。夏対策は100歩譲るとして、グラサンとマスクは嫌だぞ。何が嫌って、かわいい素顔が隠れることが――って言わせんなコノヤローッ!
「俺は外してくれた方が嬉しい。そうすれば、この暑い日も乗り越えられる」
「そっ、そうかっ! そこまで言うのならば仕方ないっ!」
結がグラサンとマスクを外して素顔を晒したぞ。
うんうん! どうして外す気になってくれたかは分からないが、やっぱり素顔が一番だ!
「それで、今日はどこに行くんだったっけ」
「フフフッ。海だ」




