第251話
プリン大食いの影響で歩けないため、ゴッドバレーはベルウッドにおぶってもらっている。本人的にはラッキーだろう。
トコトコ歩いていると、アイスハウスとウインドフェスティバルがいた。2人して立ち止まり、何かとにらめっこしている。
「2人共、どうしたんだよ?」
「シュガーさんたちも来ましたね! 妾たちだけだとは入りづらくて困っていたところなのです」
2人がにらめっこしていたのはこれか。
クエスト案内――ということはギルドなのか。ここでクエストを受けてクリアすれば報酬ゲット。F&Dもフロンティアもギルドは無かったなあ。配信されてくるクエストをこなすだけだったから新鮮だ。
「ギルドに登録すればクエストが受けられる。登録しない理由はない」
「戦闘嫌いな貴様が率先して動くとは珍しい」
「戦闘だけがクエストじゃない。ちょっとしたおつかいだってあるはずだろう」
そうと決まれば登録登録っと。いっぱい人でごった返してる。イスとテーブルが置かれているから座れる。単に休憩所としても機能しているってわけか。
「ベルウッド。とりあえず、バレーを座らせるのだ。水を飲ませよう」
急いで登録することもないか。受付が混んでいるし、座りながら待つとしよう。
それにしても混んでるなあ。賑やかで退屈はしない。俺たち以外にもプレイヤーが大勢いるよ。
「ちょっといい? 佐藤始起」
ゲーム内で俺の本名をフルネームで呼ぶ声にドキッ! いったい誰なんだ!? 恐る恐る振り向くしかない……。
「……へ!?」
「鳩が豆鉄砲を食ったような反応。折角の再会だってのにな。あんたも忘れてしまっているのか」
「……火野百萌……! 百萌じゃないか!」
こいつは驚いた。まさかゲームで百萌と再会するとは。でもなんで俺のことを覚えているんだ? あのときの百萌は消滅したはずなのに。




