第22話
今日も息抜きのゲームを楽しむッス。たまにはモンスターを愛でるのもいいかも。どう楽しもうが自由ッス。
「さーて。どんなモンスターがいるのか」
森に来たはいいが、ちょいと怖かったりする。どんなモンスターが生息しているのかを知らない。戦闘はしない主義なので。猿か、鳥か、熊でも出る? 小動物を所望するッス。
背後から気配を感じる……猿か、鳥か、熊か。一応、攻撃に備えとこう。
「コソコソせずに出てくるッス!」
我ながら痺れることを言ったッス。これでモンスターは挑発にのって出てくるはず。
カサカサと音がするのは3時の方角。もう既にバレバレッス! あちしのクナイを喰らえッス!!
「そこっ!」
我ながらナイスコントロール。音が止んだッス。
愛でるつもりが倒してしまった。このゲームはゲームオーバーすると装備が消滅しちゃうッス。今の装備を気に入っているから失いたくない。動きやすくてかわいい。
さーて。正体を確認させてもらうッス。猿か鳥か熊か――!? これはどういうことッス!? 何もないッス!
「油断大敵さー、お子ちゃま。なかなかのクナイさばきだったさー。けど、当たらなければ意味がない」
あちしの背後に!? というか人間!?
「誰がお子ちゃまッスか! これはアバター。あくまでもゲームでの姿ッス」
「へー。そんな物好きとは意外さー」
なんなんだこいつ! さっきから失礼なっ!
そもそも、あちしがゲームを始めたきっかけは、この服装に惚れたから。これを装備できるのはこの体型だけだったッス。
「あちしをどうするつもりッス」
「どうもしないさー。そんなお子ちゃまに興味ない。10年経ったら出直しな」
だからこれはアバターだと言っているのに!
だんだんだんだんムカついてきたッス! 初対面のクセに!
「もう堪忍袋の緒が切れたッス!!」
喰らえ手裏剣手裏剣手裏剣手裏剣――っ!!
「――ったく。悔しかったら大きくなれさー」
ん? 急に態度が変わった。あちしの手裏剣に恐れをなしたか。このまま追いつめるだけッス。
「てええーい!!」
「――転舞!!」
え――っ!? 今こいつ、あちしの名前を言ったッス。もしかして知り合い? 現実のあちしを名前で呼ぶのは家族以外には……いや、一人いるッス!
「……承……?」
あちしの幼馴染――。




