第21話
明かりを点けずにARボードを素早くタッチしている金髪少女。胸がまな板とか言ったやつは殺すッス。傍らにはコンソメ味のポテチ一袋。ちなみにBIGサイズ。あちしの命綱。
現在ヒッキー真っ最中。部屋が散らかろうがお構い無し。あちしのテリトリーに入ろうもんなら殺すッス。
「もうじき小説業界に革命が起きるッス。このあちし――神谷転舞の手によって!」
さーて。この最高傑作を送って――終わったッス!
うーし。お次は羽を伸ばすッス!
「転ちゃん。扉の前にご飯置いとくよ」
そういえば、まだ何も食べてなかったッス。腹が減っては戦はできぬ。腹ごしらえが先ッス。ほーう。今日の昼はカレーとな。しかもカツカレー。あちしの大好物のカツカレー!
「いただきます」
うむ。いつ食べようがカレーは美味ッス! 隠し味はコーヒーで間違いない。カレーを食べるときは水を飲まないのがポリシー。どんなに辛くても我慢我慢。
「……我慢……無理……」
舌が悲鳴をあげてるッス! 口中がヒーヒーするッス!!
こんなに辛いカレーは初めて。水を飲んでも引かないッス。
「カレーの辛さに負けてるようじゃ駄目。あちしは辛党なんだ」
絶対に完食するッス。ヒッキーの名にかけて!




