第202話
今日はドームで大イベントが開催される。とはいっても俺はあまり乗り気じゃない。俺たち10代はピンときていないからだ。
20年前に、据え置き型ゲーム機専用ソフトとして発売されたアクションゲーム――ガールズアライブ。それがパラダイス向けにリメイクされることを記念したイベント。どうして乗り気じゃないのにイベントに参加しているのかというと、新規ユーザーが誕生したからなんだ。
「やはり、ファイアフィールドなのだ」
「ククク。ブラックウィローぞよ」
結はファイアフィールド推し。熊切はブラックウィロー推し。パラダイスに期間限定で配信されていた体験版ですっかり嵌まってしまったようで、俺は2人に強引に連れてこられた。チケットは赤井が取った。
「今日は実機で製品版をお披露目するんだろう? 実際に買うことはできないのか?」
「発売は2週間後。今日のイベントは、発売前の最後の宣伝ということだな。早くプレイしたい」
「俺はパスだぞ。VRでもARでもないゲームはやる気しない」
「もったいないぞよ。美少女のパンツを覗き放題だというのに」
「ゲームの目的が変わってるじゃないか。それにゲームでわざわざ見なくても、既に充分見ているぞ」
結が下着を買うときにだけど。
「ククク。ごちそうさまぞよ」
熊切のやつ、変な想像してなきゃいいが。
そろそろ開始みたいだ。ステージに関係者が現れたぞ。会場のボルテージが一気に上がった。




