第20話
俺は耐えたぞ! 色とりどりな下着の誘惑に! 結さんの試着姿に! ここが店で助かったー。
というか、結さんは結構大胆だ。下着を選んだのは俺だが、着けるのはあくまで結さん。ロクに下着のことが分からない俺に全てを任せるだなんて普通はできない。下着姿を見せる方がよっぽど勇気がいるはずなのに。
「次もお願い」
「分かった」
正直、俺はファッションに疎い。だから今日買ったのは100%俺の好み。トレンドなんて知らん。
トップスもボトムスも靴もアクセサリーも俺色に染まった結さんが隣を歩いている。結局のところ気に入ってくれたのだろうか?
「結さん」
「待って。今日1日一緒にいて思ったんだけど、その呼び方は嫌だ」
「下の名前で呼ばれるのは嫌なのか。それじゃあ……川島さん」
「そうじゃない。敬称をやめてほしい」
「ああ! 分かった分かった。じゃあ川島で」
「バカ者! 結でいいと言っているんだ!」
顔を真っ赤にしながら訴えてきたぞ! それに口調もゲーム寄りになってるし。
「えーと。それじゃ……ゆっ、結!」
「はいいい――っ!!」
声が上擦ってますよー。いちいち反応がかわいい。
「俺からも1つ頼みが。もし素はゲームの方だったら、俺には素で頼む。お互い気楽な方がいいだろう?」
俺の言葉に結は俯いてしまう。
これは地雷を踏んでしまったかもしれない。
「……そうさせてもらう」
一言そう呟いて顔を上げた結は、俺を見つめてきながら手を繋いできた。
「えっ!?」
「あたしから逃げられると思うな」
口元を緩めて笑みを向けてくる結。
ヤバい。俺、惚れたかも。




