第179話
片や仮面の人。片や白タイツの人。
妾を助けてくれたのには感謝しているのですよ。してはいるのですが、丸々信用するには不安の塊すぎて。う~ん。
「しかしあれだ。この世界は自由がない。任意の場所に移動することもできぬとは。1本道のRPGをやっているようだ」
「完全に誰かの掌の上です。仮想世界から出れないのが何よりの証拠」
「まったく敵わんな。この私が転がされているとは。この世界の核は石のはず。ならば、その石を破壊してやる」
宇宙の石を!? 世紀の発見の石を破壊するの!?
そんなこと許されるのかなあ?
「こんな危険な世界、このホワイトストーンには不要」
「そんなに危険なの?」
「さっきの建物崩壊はレッドウェルさんのせいだが、既に何人か殺されているのはレッドウェルさんのせいではない」
「こ、殺されてる!?」
え、ちょっと待って! バーチャルなのに死ぬってどういうことおおおお!?
「私たちの身体は電子変換によって仮想世界に適合している。だが、あくまでも身体は生身だ。バーチャルに適合しているということは、バーチャルの攻撃が通用するということ」
「攻撃……誰が……?」
「決まっているであろう。この世界の創造者だ。見た目はただの石の、高性能AI搭載のスーパーコンピューターがね」
「問題は、どこにいるかということ。思い通りに進めない以上、手の打ちようがない。ホワイトストーンの名が泣く」
これは思ってる以上に危ないようなのです。いったいどうなっちゃうの!?




