第17話
天国から地獄とはこのことだ。ん? 地獄……なのか?
冷静に考えれば、ゲーム内の赤髪赤眼美少女の正体が、現実でも黒髪ロングの美少女なんて最高じゃない?
「こんなことがっ! あたしのリアルがバレたとはっ!」
身体をブルブル震わせちゃってるよ。よっぽど知られたくなかったんだな。まあ、ゲームの俺と現実の俺の落差にガッカリしているのかもしれんが。
「だ、大丈夫か?」
「今すぐ忘れろ! あたしのことを忘れろ! ゲームとリアルで釣り合わない容姿のあたしを忘れろ!」
なぜ揺さぶる。肩が痛い。いやマジで痛いんです。
あーあー。顔が崩れてるぞ。そんな泣き顔になるほどバレたくなかったんだな。でもヤバい。これはこれでかわいいぞ。
「そんなことないと思うぞ? 現実の君もかわいい。そりゃあ雰囲気というか佇まいは違うけど。異なる君を楽しめるってことだろう」
「かわいい!? リアルのあたしなんて地味だ。周りの女子みたく化粧もしなければオシャレもしない。私には不相応だ」
「決めつけるなんてもったいないぞ。俺はスッピン派だから化粧していなくても気にしない。スタイルもいいんだ。オシャレしないと損だぞ」
「自分ではそうは思わない。胸だって小さい」
「胸の大きさがなんだ。俺には関係ない」
こいつの自意識を変えないともったいないぞ。




