第168話
シュガーさんとのゲームは刺激的だったよ。妾1人じゃ絶対に体験できなかったことばかり。プレイ初日からボスを倒すだなんて、いったいどんなチートをしたんだって言われてもしょうがないよ。誰にも知られてないから、言われてないけどね。
「うふふ」
もうあれから1週間が経ったわけ。
妾1人で適当に層を行ったり来たりしているわけなのだけれど、全然シュガーさんはインしていないのです。寂しいわけなのですよ。
「乱、大丈夫? 上の空みたいだよ」
「みたいじゃないの。上の空なの。あんな刺激的なデビューを飾ったあとじゃ、なかなか満足できなくて」
「パラダイスを買ってもらって上機嫌なのは分かるけど、ほどほどにしないと身体壊しちゃうよ」
「そこはちゃんとやっているから安心してして。繚娘は心配性だね」
「それはそうだって! だって、乱にもしものことがあったら……余はっ……」
妾の幼馴染――風祭繚娘。妾の前の席に座っている。
緑色が好きなあまり、眼鏡のフレームも自転車も靴もARフォンも緑尽くし。ちなみに、高1女子の平均身長よりも低いのを気にしている。妾より胸が大きい。羨ましい。
「繚娘もフロンティアやろうよ」
「余は結構。ゲーム全般苦手だから。きっと余には向いてない」
「そうかー。無理強いはしないよ。楽しめないゲームはゲームじゃないのでね」
「乱。放課後、ちょっと寄り道しない?」
「おや珍しい。いいよ」
どこに行くのだろう? 楽しみ楽しみ。




