第166話
ケルベロスの首がウジャウジャと100。流石に気持ち悪い。できれば近寄りたくないのです。ですが、妾もゲーマー。目の前に倒すべきモンスターがいるのなら、そう簡単に背中を見せるわけにはいかない。
「すーはー。すーはー」
シュガーさんが妾のために揃えてくれた装備を駆使して援護してみせる。てやあ!
「「シャアー!」」
「ひぃいいい――!!」
怖いのですよ。100の声が一斉に聞こえてくるわけなのですよ。そんじょそこらのホラーなんか目じゃないの。
しかし、こんな簡単に怯んでいちゃ駄目。妾がシュガーさんに突破口を開いてあげないと。
「えーい! いきなりの切り札いきまーす!」
1発勝負のロケットランチャー! なのに滅茶苦茶高い高い。威力は絶大らしいのですが、当たらなければ意味がない。
「「シャアー!」」
そんな連続で威嚇されても怖くないのです。妾には必殺のロケットランチャーがあるのだから! 喰らえー!
「「シャアアア!?」」
よし! どうだ参ったかケルベロス。
……あれ? まだ立っているよ。こっちを見て殺気を放っているような……。
「盾を構えるんだ! アイスハウス!」
え? どういうことなの?
「「シャアー!!」」
100の口から光線が――妾に。
全然効いてなかったのだよ。ロケットランチャー。
「デリート!」
シュガーさんが、眩い光を剣から放つ。それによって100の光線は一瞬で消滅した。凄いのです。
「ありがとうございますシュ……ああ!?」
「しくじったようだ。エクスカリバーを使っていながら……情けない」
「シュガーさん!?」
シュガーさんの左腕が吹き飛ばされているのですううう!! どどどどうしよう!?
「……囮は……俺のようだ。き、キミは……これでケルベロスを斬るんだ」
「え!?」
シュガーさんは妾にエクスカリバーを差し出してきた。
そんな無理なの……妾には大きすぎる力なのです。
「大丈夫だ。キミならエクスカリバーを扱えるよ。チャンスは1回。俺がやつの気を引いているうちに」
シュガーさんが走っていく。ケルベロスの気を妾から逸らしてくれている。い、今しかない……!
「妾に応えて! エクスカリバー!!」




