第162話
心臓がドキドキ! 今にも飛び出しちゃいそう。こういう修羅場に遭遇したことがないから余計になのです。
クルさん、女性、魔女さんが顔を合わせています。現場は物凄くピリピリしていて居心地悪い。ゲームだと頭では理解していても、精神的に参っちゃうの。
「誤解だ! 僕はミサトをそういう風に思ったことはない」
「誤解ですって!? 何度も何度も私に対して思わせ振りなことをしといて」
魔女さんの名前はミサトさんらしい。というかクルさん、思わせ振りなことって何でしょう?
「ミサトさん。彼と私はそういう関係ではありません。それも誤解です」
「はあ!? 何かにつけてクルに近づいておきながら白々しい。この雌豚! 泥棒猫!」
「いい加減にしろ! 僕はミサトの物でも彼女の物でもない。言いがかりだ」
あちゃー。完全に拗れちゃいました。こんなにこんがらがっている糸をどう解けば……。
「コホン! ちょいとお三方静粛に。これじゃ火に油を注いでいるだけだ。キリがないし大人げない。見るに耐えない」
シュガーさん、またもやド直球。ズバズバなのです。
「この際、はっきりさせたらどうなんだクル。2人に対しての素直な想いを」
「素直な想い?」
さーてさてさて。どうするクルさん! どうなる女性陣!
「はっきりさせて。スッキリしたいの」
「終わらせましょう、ドロドロを」
「分かったよ。僕の正直な想いを言うよ」
現場にこれ以上ない緊張感が漂う。張り詰める。空気のピリピリが肌に伝わってくる。妾の心臓が高鳴り唸る。
「僕は……」
妾、クライマックスなのです~!
「……君に惚れた!」
あれれ。どうしてクルさんは妾に視線を向けているのだろう? もしかして、もしかしなくてもこれってまさか……!
「妾をおおお!?」
しゅ、修羅場に巻き込まれたのですよ。




