第146話
ククク。今ごろ、姫と殿はラブラブしているかもぞよ。2人の仲を深める助けになれたのなら嬉しいぞよ。
それにしても、ここにきてゲームの運営が終了することになるとは驚き。始まりがあれば終わりがあるとはいえ急すぎぞよ。
『熊切、起きてる?』
転舞姫からメールが来たぞよ。
『お風呂気持ちよかったッス。ひろーいお風呂は格別だった!』
喜びのメールで安心したぞよ。悲しみのメールだったら耐えられなかった。
『夕飯を食べてまったり中。都会の喧騒から離れるのもいいものッス。熊切ありがとう。感謝してもしきれない』
大袈裟ぞよ。誰かの役に立てたのは嬉しい。宿泊券をあげて本当によかった。えーと……『思う存分羽を伸ばして!』と。
『伸ばす伸ばす! 今度はみんなと来たいッス!』
返信が早い。頭の回転が早いぞよ。
今度はみんなと、か。我、これまでそんな経験ないぞよ。みんなとなら是非とも行きたい。
『熊切、モーニングコール頼むッス! たまには承以外から起こされたい』
なんで我が? まあいい。それで姫が気持ちよく起きられるのなら、誠心誠意起こすぞよ。
※ ※ ※
熊切には自信を持ってほしい。あちしの勝手なお願いだけど、これは熊切のためでもあるッス。
「転舞。僕、もうひとっ風呂入ってくるさー」
「分かった。ゆっくり伸ばしてきて」
「眠くなったら先に寝てさー」
「分かったッス」
あちしは明日の朝に入ろう。
さーて、承が戻ってくるまで執筆しよう。いろいろと浮かんできてるッス。
「……絶対に寝ないッス……」
書き始めた途端に眠くなってきた。条件反射。せめて浮かんだものを箇条書きで纏めてしまおう。
というか寝たくない。承と同じ部屋で寝るなんて久々ッス。小さいとき以来。
「……ああ無念……」
意識が遠退いていくー。
「おーい転舞……ありゃりゃ」
無理して起きようとしていたようだ。睡魔に勝てないのに。ちゃんと布団に入らないと風邪引くさー。
「承……うへへ」
寝言言ってるし。どういう夢を見ているんだか。
よし、布団に寝かせた。あとは僕が寝るだけさー。
「寝るだけ、か」
駄目だ駄目だ! 僕はまったくまったく! いくら転舞の寝顔がかわいいからって。
「……しょう……いいッスよ」
「夢でいいのなら、いいよな?」
軽く唇を重ねた。それが限界。寝ている隙を狙うのは申し訳ない。これでも随分と転舞に弱くなったものだ。
「おやすみ転舞」




