第135話
俺のデータに追加された項目、エクストラ。
噂には聞いたことがある程度の存在で、都市伝説扱い。今までエクストラ持ちを見たことはない。
「エクストラ……俺の……!」
手が震える。ボードを震える指でタッチする。
エクストラの項目を開き現れた文字は、死勝。書かれていた説明に全身が震えだす。
「そんなことって!?」
『死勝。フレンドが同一戦闘において敗北したときに自動発動。敗北したフレンドの技を同一戦闘時のみ使うことができる。なお、この効果はありとあらゆる効果を無視するものとする』
「ありとあらゆる効果……エクスカリバーの効果も効かないってことか!」
確かにこれなら勝てるかもしれない。けど、誰かが負けなくちゃいけないデメリットがある。
誰1人切れない。だけどこのままじゃ全員殺られる。迷っている場合じゃない。場合じゃない……クソー!
「何を迷っているーの」
「ウォーターヒル!?」
「何か策があるんじゃなーい? そんな顔していたよ」
「じ、実は……」
俺はウォーターヒルにエクストラのことを伝えた。
ウォーターヒルは黙って話を聞いたあと、俺の肩を黙って軽く叩いてきた。
「わっちの技でよければ貸すよ。その代わり、きっちり倒しちゃいなーよ」
「でも!?」
「でもじゃない。戦場において一瞬の迷いが命取りになる。おねえさまを頼んだーよ」
ウォーターヒルはそれだけ言い残し、わざとダークエルフに致命傷を喰らいログアウト。
俺のエクストラが発動。ボードにウォーターヒルの技が表示された。
「ありがとうウォーターヒル。技、借りるぞ!」
いくぞダークエルフ。これで勝負を決めてやる。




