第134話
こいつは絶体絶命大ピンチだぜ。技が使えないだなんて反則も反則。ゲームバランス崩壊もんだぞ。
エクスカリバー。まったく、敵NPCになんちゅうもん持たせてるんだよ!
「……僕の矢じゃダメージを与えられてない」
「あちしの手裏剣やクナイも同じくッス」
「ベアーオフはどうだ?」
「我の攻防は全てベアーちゃん。技は出せないのぉ」
「そうかっ」
完全にどん詰まりだ。赤髪が刀で斬りかかっているが無意味に近いし、赤井の徒手空拳も通じていない。あの2人が赤子扱いだなんて信じられない。
このまま何もできないまま、無様に俺たちは殺られるのか! 俺は、こうして立ち尽くすことしかできないのか!
「おねえさま。わっちも加勢しまーす!」
ウォーターヒルが飛び出していく。何もできないことを承知の上で。ゴッドバレーとベルウッドも続いていく。
俺は……俺は……何ができる? 持っている武器なんて短剣1本だけだ。行っても瞬殺されるに決まってる。
「殺ス!」
「「うわあああ!!」」
みんなが傷ついていくのを黙って見ているしかないのか? 1人ブルブル震えているだけなのか? 俺は所詮、甘ちゃんでしかないのか!?
「違う」
俺は自分で言うのもなんだが変わった。みんなのお陰で変われたんだ! 俺を変えてくれたみんなが殺られていくのをただ黙って見ているだけなんて駄目なんだ!
「ここで行かなきゃ男じゃない!」
短剣を握り覚悟を決めたそのとき、ボードに何やら文字が現れた。俺の全身が震え上がる。恐怖からではなく、嬉しさのあまりにだ。




