第130話
俺はボウリングが苦手だ。球技全般が苦手。投げても投げてもガター、ガター、ガター。ピンに届きすらしない。
「下手の極みだ」
赤井うるさいぞ! あんたはカラオケの下手の極みの癖に。
「あっ、案ずるなっ! あたしの心にはいつもストライクなのだっ」
フォローになってないぞ、結。俺がボウリング上達するのは諦めているだろう絶対。
「ククク。殿の弱点ぞよ」
「なかなかにかわいいところあるじゃなーい。2番目でいいから、わっちとも付き合わなーい?」
「付き合わない。からかわないでくれ」
「半分本気なんだけーど」
半分は冗談なんじゃないかよ。後輩をからかって遊んでやがる。妙に子どもっぽいところがあるんだよなあ。
「ボウリングは楽しい。私はボウリングに目覚めた!」
「今度は負けません。僕、ボウリングは得意なんです!」
すっかり意気投合してるし。ていうか鈴木。キミはいくつ特技があるんだよ?
「男の友情を題材に書くのもいいッスね。熱いバトルからの友情! まさに青春ッス!」
昔のヤンキー漫画じゃあるまいし。今も受けるのか?
「女の友情も捨てがたーい。わっちは推すよ!」
「分かってないッスねえ」
「その言葉、そのまま返すーよ」
水岡さんと神谷は勝手に盛り上がってる。女子は好きだよなあ、お喋りが。楽しそうにしているからいいけど。
「フフッ。眼福眼福!」
赤井、あんまりジロジロ見ていると変態に間違われるぞ。




