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第13話
やれやれ。どうにかこうにか砂糖とミルクを許してもらえたぞ。ああ、ほっこりする。
「随分と呑気だな。女を捕まえられなかったからか」
「俺はナンパするつもりじゃなかったんだ。ただ話をしたかっただけ」
「どうだか」
「キミこそどうなんだよ。ほかに目的はないのか」
「ない。気分転換に潜っただけにすぎない。まさか余計に気分を悪くするとは思いもしなかったがな」
こいつは結構根に持つタイプか? 俺にも非があったのは認めるけど。
「よし。紅茶も飲んだことだし、そろそろログアウト――」
「――おい」
今度は何だよ!? アイス奢って、フレンドになって、戦闘に付き合って、紅茶を飲んだ。これ以上何を望むんだ!?
「なんだよ?」
「まあなんだ……いろいろあったが……つまりはその……あっ、ありがと――っ!!」
えっ!? まさかまさかのお礼ですか! まさかまさかの逆転ホームランですか!!
ていうか反則だろう。そんな急なデレは。そんなに顔赤くさせて言われたら勘違いしちゃうかもだぞ。
「どういたしまして。じゃあな」
俺まで照れてどうすんだ。冷静に冷静に。ログアウト――。




