第120話
これは面倒なことになったものだ。
オフ会の待ち合わせに向かっている最中、あたしたちに声をかけてきた輩。チャラチャラしていていけ好かない。
「キミら、カワイイね! よかったらオレらと遊ばねえ?」
「悪いが急いでいる。貴様らに構っている時間など皆無なのだ」
こういう輩は、しつこい。構わず去るのが一番だ。
転舞も唯花も怯えている。絡まれ慣れていないのだろ。
「オレらと遊ぶ方が楽しいに決まってるぜえ? そんなにツンケンされると堪らねえ」
あたしの腕を掴んできた。転舞も唯花も掴まれて動けない。こっちは女3人、対して相手は男6人。数も力も不利なのだ。
「離すッス!?」
「ピンチぞよ」
転舞と唯花は戦力外。あたしだってそんなに強くはない。路地裏に連れていかれでもすれば終わり。
「2人は離せ。あたしが遊んでやる」
「分かった。惜しいが2人は離してやるぜえ。ほら!」
よし、2人は解放されたのだ。あとはあたしが耐えればいいだけのこと。
「リバー!?」
「貴様らは逃げろ。あたしなら大丈夫なのだ」
「さーて。オレらがかわいがってやるよ」
男6人に囲まれて連れていかれる。こういう輩は面倒だ。転舞と唯花が助けを呼んでくれるはず。それまで耐えるまで。
「堪え……られる……のか」
せっかくのオフ会だというのに。こんなところで奪われてしまうのか。川島結、一生の不覚。
「やれやれ。こんなところで会うとは奇遇だ。が、状況が好ましくない。大の男が寄って集ってむさ苦しい」
「「はあ!!」」
「そんなに睨まれても嬉しくない。野郎と視線を交わすなどもってのほか」
あれは赤井森夜!? 何故やつが?
「待っていたまえ。この私が退治してやろう」
こうなれば何でもいい。赤井に助けられるのは不本意だが、背に腹は替えられん。




