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第110話
俺たちは結局のところ大地が好きなのかもしれない。
エリア81は砂漠だった。もう勘弁してくれと思っていた砂漠の感触が足の裏に伝わった瞬間、身体に電気が走った。それがとても心地よくて、暑さの苦痛など吹き飛ぶほど。
それからも心地いいエリアが続いた。
エリア82は山。
エリア83は荒野。
エリア84は氷河。
エリア85は無人島。
何度も出てきた場所だが気にならず、多少足場が悪いのも許せた。立って歩けることが嬉しくて仕方がなかった。
そしてエリア90。俺は、俺たちは絶句した。
俺たちは立っている。それは間違いない。が、立っている場所が問題だった。
「つ、月だとー!」
月は無重力。重力が早くも恋しいぜ。
そんで最大の問題は、例のやつ。振り返らなくてもやつがいる。なんか変身してるぞ。
「フクシュウダ」
俺、逃げる。逃げるぞ。
「今度こそあたしが倒してやるのだ」
「いや、私だ」
「違う。このホワイトストーンだ」
誰でもいい! 誰でもいいから、あのグレイを倒してくれ。
「ミナゴロシダ」




