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第11話

 うわー。俺はモンスターに同情する。あんな無惨に斬り刻まれちゃってまあ。

 赤髪はドヤ顔で俺の方を向いてピースサイン。チクショー。かわいいじゃんか。チクショー。


「ククッ。あたしに襲いかかってきたのが運の尽きだったね。これに懲りたら2度と出てくんな」


 いやいや。どちらかといえば、襲いかかったのはキミだ。完全にモンスターは被害者だぞ。無理矢理巻き込まれた俺も被害者だぞ。


「アイテムドロップだ」


 フーン。家の素か。確か100個集めると家が建てられるんだったな。俺はまったく興味ないや。

 家を欲しがる人は結構いる。静かに勉強するために、わざわざゲームにログインする人がいると知ったときは驚いた。


「あたしがもらう。倒したのはあたしだから。貴様はあたしの勇姿を見れたので充分のはずだ」


「勇姿だと? どこか読みを間違えば死んでたろうに」


 このゲームには能力値やレベルがないと言ったが、もちろん無敵というわけじゃない。ボードには身体の状態が表示されていて、緑、黄、赤とダメージを受けていくと色が変化していく。

 このゲームでの装備やアイテムの役割は、そのダメージを軽減させたり、受けたダメージを回復させるといったものだ。


「誰に言っている。あたしが敵を死なせても、敵があたしを死なせることなどありえん」


「たいした自信だよ。どこから湧いてくるんだ」


「それはもちろん、この胸に決まっている!」


 だから胸を張るんじゃない。揺れてくれるのは目の保養になるけど。自意識過剰なのが痛いよな。かわいいのは認めるけど。


「そうかそうか。それはよかったよかった。じゃあ俺はログアウトするぞ」


 ボードを呼び出してログアウト――ん? なんだか視線を感じるぞ。刀を抜いた音が聞こえたぞ。


「誰が帰っていいと許可した! あぁん!!」


「おっかないからしまってくれ! もう用は済んだだろう?」


「フン。あたしもそこまで鬼ではない。紅茶くらいなら淹れてやってもいい」


 おいおい。誰も頼んじゃないぞ。それに上から言うのはやめたらどうだ。今のキミの魅力の9割が見た目なのは問題だ。


「遠慮する。俺はコーヒー派だから――っ!?」


「なんか言ったかクソ変態!!」


 ヤバいヤバい!! 本気で斬りかかってきやがった!!

 そんなに紅茶を飲んでほしいのか? 分からん。


「飲むからしまってくれ! 紅茶飲むからー!」


 ゲームオーバーだけは勘弁してくれ。ゲームオーバーすると装備が消滅するんだぞ。

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