幼児期7
6歳
その年も去年よりも更に収穫量を増した我がカモイ村は収穫祭の準備に大忙しだった。
去年に引き続き麦の収穫量は増え
カブも順調に収穫でき
トマト、キュウリ、ナス、等の夏野菜系も成功し
豆畑には青々とした枝豆が実っている。
茶色になったら大豆として収穫する予定だが収穫祭には枝豆の塩ゆでが出る予定らしい。
俺は母さんと一緒に鹿のソーセージを作成中だ。
父さん達が森に入って獲ってきた鹿。
今までは肉と心臓以外は捨てていたらしい。
もったいない!
ということで母と一緒に鹿肉を細かくひき肉に加工し一所懸命に腸に詰め込む。
最初嫌がっていた母もやっているうちに楽しくなってきたようだ。
鼻歌交じりに肉を叩き潰す母はなかなかに猟奇的だった。
それと、せっかくひき肉を作ったので餃子も作ろうかと思案中。
本当は俺も森に入って猟や果物なんかを採取したいのだが、森は危険だから子供のうちはダメと言われた。
この村にほど近い森はかなり広大で一度迷うと出るのは不可能なんて言われている。
大人たちも猟は結構浅い場所でやっているらしい。
森には魔物が跋扈し、そこは人の住む世界ではない。
そんなことを村長がいってた。
あーぁ、森の果物とかあれば色々作れそうなんだけどなぁ。
そんな浮かれて陽気な雰囲気漂うカモイ村に
それは突然現れた。
「たのもー!カモイ村村長は何処か!村長は何処か!!」
いきなり村の入口から馬にのって入ってきた男は広場に着くなり大声を張り上げた。
「王の勅命である!村長は何処か!!」
「はい。私がこのカモイ村の村長ですが・・・」
大声を張り上げ、自分は王の使者だという男の声に
作業の手を止めわらわらと村人が集まる。
「なんだなんだ?」
「ちょくめいってなぁに?」
「王の命令・・・か?」
「しっ!きこえねぇだろ」
騒然とする中、男はなお声を張り上げる。
「西の大国ロマリアが我がテルベリアを占領戦と軍を派兵した!王は民へ戦への参戦を望んでおられる!!」
「な!」
「え」
「男は全員!子供も参加せよ!」
「こ、子供も!?」
「そうだ!」
「子供が戦なんて・・・」
「役に立つかどうかは王が決めること!カモイ村の者たちは急ぎ支度しろ明日の朝大村へ出立する!」
あまりにも一方的で急だった。
男性は全員とか、子供も参戦とか意味が分からない。
しかも明日の朝って。
なんでだよ・・・。
もうすぐ収穫祭なのに、ソーセージ作ってるのになんでこんな理不尽なことに巻き込まれなきゃいけない。
俺は周りの村人たちと同じく動揺し混乱した。
なんでだよ・・・。
崩壊の始まり
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