サバイバル生活8
火
それは文明の灯り
猿と人間の違いは何かと言われれば
道具、そして火を使うことだろう。
ぶっちゃけ拠点を滝壺に移してから原始的な方法で火を起こそうとはしたんだ。
キリモミ式、摩擦式で試したが煙すら出なかった。
俺のあまりある謎パワーでも無理だった。
多分湿っていたのだろう・・・。
陽の光が当たらない濃い森の中は日陰が多く乾いた木なんてそうそう見つかりはしない。
だがまぁ・・・いい。
俺は火を手に入れたんだ。
ならば絶やさないようにすればいいだけだ。
・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・
翌朝、いつもの通りやってきたエギルは竪穴式住居内の焚き火をみてビビっていた。
「ぎゃぎゃ!ぎ?ぎゃー!(え、なにこれ!え?あったっかい!)」
ボデイーランゲージ交えつつ火は危なくないと伝える。
納得したと言うより、火の暖かあに引かれ顔を近づけ鼻っ柱を軽く火傷していた。
「ぎゃ!ぎぎい」
「あんま近づくと危ないから適度な距離・・・この石で円形に作った囲炉裏より中に入っちゃダメだ」
「ぎゃい!」
「さて、エギルも来たことだし・・・やるか!」
「ぎゃ?」
「じゃーん、サワガニエビとタンゴ虫!」
「ぎゃいぎゃい?(ご飯ね?)」
俺は革底で捕まえたサワガニエビとダンゴムシに木の枝を指して
囲炉裏に適度な距離で立てかける。
数分もするとサワガニエビが真っ赤に変色していく、いい感じだ。
ダンゴムシも皮の部分が少しづつ焼けてきてる。
「ぎゃ~ぎぎぎゃごい(うわあ~いい匂い)」
「ふふふ」
そしてさらに数分しっかり焼けてるのを確認してエギルに渡す
もちろん俺の分も確保だ
さて、いただきます。
香ばしい匂い立つサワガニエビは暖かくて旨さ爆発だった。
やはり、人間は生食より少しでも加工したものを食べてこそだな。
旨い!俺たちは焼けた串にむしゃぶりついた。
そんな贅沢?を堪能してる時
家の前で声が聞こえた。
「・・・・・ぎ・・・ぎゃぎゃ」
「ぎゃ・・・・ぎゅぐ」
「ん?お客さんかね?」
「ぎ・・・(たぶん村の人たちだと思うけど)」
俺は立ち上がると入口の方へ向かい縦に開くようにした扉をあけた。
果たしてそこにいたのは
十数人の人間だった。
「あ~、なにか御用でしょうか?」
十数人の人間はさっと左右に別れ奥から老人が現れた。
「ギャギャギホブゴブリンギャ・・・ギャギギルギャトウーカぎゃ(初めましてホブゴブリン様・・・私は村長でギャトウーカともうします。)」
正直何も聞き取れなかったが好意的?な雰囲気だ
「ギャギャギギエギルギャ、ギャギャゴギガーヒャ(いつも孫のエギルが世話になっているようで、これはお近づきの印です」
そして徐に石を渡してきた。
岩塩だこれ。
「いいのですか?ありがとうございます。」
「ぎゃぎゃ?ぎぎゃぎゃ!!(どうしたの?っておじいちゃん!!)」
「エギルギャギャ、ギャギョガゴギェギャギギャッギャ(エギル孫がお世話になってるのでご挨拶に来たのじゃよ)」
「ぎゃぎゃ?」
「ぎゃーぎゃ」
なんだか和やかな雰囲気だ。
突然だったがこれなら仲良くご近所付き合いできそうな気がするぜ。
俺はお近づきの印にとダンゴムシとサワガニエビの串を渡した。
なお、人数分全員にサワガニエビ串はなかったためダンゴムシ多めである。
なお、サワガニエビ串に比べて人気はなかった・・・。