太古の森
サーーーーー
清涼な滝の音が周囲響く中
俺は滝壺周辺を泳ぎ回る。
目を開ければ底まで見える透明度の高い清流の滝。
一気に空気を吸い込んだ俺は底を目指して潜る。
ボゴボゴボゴ
この滝壺深さは2m程
鼻から少量ずつ息を吐きながら水底を目指す。
この川には残念ながら魚はいない。
こんなに綺麗なら魚はいそうなものだが・・・
逆っぽい。
こんなに透明度が高いと魚は棲まないのかもしれない。
水清ければ不魚住なんてことわざもある。
俺は手頃な石をどかすと
小さなカニ・・・?のような物が逃げ出す。
俺はそれを手掴みして一気に浮上した。
この川を見つけて数日。
俺はこの川底にいるカニらしきものを食べて過ごした。
収穫:サワガニ?
赤茶色の体に八本の足と二本のハサミ。
これだけ書くとまんまサワガニだが、体がエビみたいに長い。
全長10cm程のそれはプリプリとしていてかなりいい食感だ。
テンプラとか茹でて醤油で食べたいところである。
それを3びきほど皮剥いて食べる。
ちょっと前までなら皮っつか殻ごと食べていた。
腹を満たして、川の水を飲む。
川の水なんてそのまま飲んだら腹を壊すものだが
この川の水が布なためか、はたまた俺の胃袋が強いからか
未だ腹を下してはいない。
川に潜れば、食料もある。
飲み水にも事欠かない。
おれはここ数日?の疲れを癒すようにその場に留まった。
満たした腹で川べりの岩に仰向けに横たわりふっと息を吐く。
そして、ここ数日に思いを馳せる。
かなり特殊な木々に大きな蟲たち。
まるで本で読んだジュラ紀の・・・
恐竜の跋扈していた森のようだ。
未だ、動物には会ってない・・・。
でもいるかもしれない。
恐竜や見たこともない巨大な生物。
そして
人類種
でも、今は
もう少しこの場所で過ごそう。
おれは心地よい風を運ぶ滝と
満足感のある体と気持ちに誘われ
そっと眠りに落ちていった。
【太古の森編・終】
ありがとうございましたヽ(*´∀`)ノ
太古の森編終了です。
次回からは出会い編(仮)になります。