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野生児転生。話が違うじゃないですか!  作者: ふゆよる
【第二章】 太古の森
22/35

森林探査10

・・・

・・・・・・

・・・・・・・・・


少し変化が訪れたのは、あの雨の日から数時間後のことだった。


全身の内側が、筋肉が、骨が筆舌に尽くし難い痒みが生じた。

内側からくるこのかゆみ

そして、掻くことも動かすことも出来ない四肢

まるで拷問のようなそれは意識を浮上させてはシャットアウトさせるというのを繰り返す。

まるで体の内側を蟲に這いずり回されるようなそれは

何時間も続き俺の精神を破壊しようとしているようだった。


「ぅ”う”っう”う”う”ぅ”ぐぅう”」


その痒さに悶え続けること数時間

俺の意識はいつの間にかシャットアウトしていた。


・・・

・・・・・・

・・・・・・・・・


次に目を覚ました時に襲ってきたのは

壮絶な空腹感だった。

不思議と痒みは収まり痛みも感じない。

だが、そんなものはどうでもよくなる程の空腹感。

童歌でお腹と背中がくっつく

なんて、歌詞があるがそんなものではない。

全部、体の全てが胃袋に

まるで蟻地獄の巣のように吸い込まれていくような感覚。

そして、胃酸が内側から内蔵を溶かすような痛み。

俺は必死に首を動かし首の後ろにあった土に食らいつく。

グシャグシャとした砂と泥を飲み込み続ける。

もう正直なんでもいい!

とにかく胃袋になにか入れないと

俺は死ぬ!

そんな強迫観念に後押しされるようにおれは周囲の泥を喰む。

空腹感と腹痛に意識をシャットアウトしたのはまもなくのことだった・・・。


・・・

・・・・・・

・・・・・・・・・


あれからどれほどの時間が過ぎただろうか・・・。

目が覚めると襲って来る痒みと空腹は交互に襲ってきた。

全身の内側からくる痒み

それに意識を落とすと次に襲って来る空腹。

もうすでに自分の周りには土も泥もない。

喰んでいるうちに口に入ったミミズのようなものも

木の根のようなものも

もう俺の傍には・・・ない。

そして今おれは酷い空腹感に襲われている。

たぶん、もう・・・耐えれない。

あぁ・・・

なんだ・・・

おれはここで死ぬのか・・・

だったら、もっと楽に死にたかったなぁ・・・

・・・

・・・・・・

・・・・・・・・・


「嫌だ!!!」


「おれは死にたくない!!!!」


「死にたくない!!!!!」


目の箸に映った木の根におれは飛びついた。


俺の数メートル先に見えていた木の根におれは飛びつけた。


齧る


貪り


咀嚼する・・・。


気が狂ったようにちぎっては口にほおばり咀嚼する


そして、ようやっと気が付いた。


「体が・・・動く・・・」


唖然と立ちすくんだ俺の体は


もう、痛みも痒みも感じなかった。




ありがとうございましたヽ(´▽`)/

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