森林探査8
予想以上のしんたん能力を発揮し駆ける。
木々の間を疾走し
枝から枝へとオリンピック鉄棒選手もびっくりな離れ業を披露し
5m以上はある溝を軽々と飛び越える。
明らかに異常だ。
ロシアの選手もドーピングしたとしてここまでの能力向上は出来ないだろう。
そんな身体能力で森を駆け抜ける。
そして日も大分傾き
周りがなお薄暗くなる頃
俺はそいつに出会った。
そいつは
青白く発光し
消えては、数メートル先でまた輝く
それを繰り返す。
最初遠めに見たときは蛍だと思った。
前世日本ではゲンジボタルが有名だが、国内だけで確か40種類くらいいた。
そして、蛍は発光する。
ホタルが発光する能力を獲得したのは「敵をおどかすため」という説や「食べるとまずいことを警告する警戒色である」という説がある。
実際蛍は毒を持っているため食べるのは無理そうだ。
いや、なんか光ってて食べたくない。
そして蛍は水辺でよく見かける。
成虫になるまで川の中で育つからな。
「やった!この近くに川があるかも!!!」
俺は、薄暗く足元も正確に確認できないにも関わらず
全力で蛍?のような光に向かって駆けた。
川があれば水が飲める!
川があれば魚がいるかもしれない!
川があれば現在位置が分かるかも知れない!
ここ最近ずっと追い求めていた川が目の前にある。
そう思ってしまった俺は
この薄暗い森で何も確認せずに走り
そして
足を踏み外した。
浮遊感に体が感覚を失い
落下していく。
見つめる先には青白く光るそれが点滅発光し
遠ざかっていく。
「あ・・・」
唯一漏れたその声に反応したのか
光り輝くそいつは消えて
俺の視界は完全に闇に消えた。
ドザッ!
全身を痛みが襲い、俺の意識は途切れた。
ありがとうございましたヽ(´▽`)/