幼児期10
ブクマありがとうございます!
何程、歩いたかな・・・。
森の道なき道を草をかき分けながら進む。
方向は合ってる・・・はず。
この森の端に沿うように進めば村が見えてるくる。
家が、見えてくる。
・・・はず。
来る時には三日かかった道
来る時には皆と歩いた道
来る時には父さんがいた道
それを木々の隙間から確認しながら俺は進んだ。
・・・俺一人で・・・。
あの夜から
涙が止まらない・・・。
服は泥と汗で異臭がする。
手足は傷だらけで血が滲む。
それでも、俺は村を目指した。
『お母さんを頼んだ・・・・っ!!!うぉおおおおおおおおおおおおおお!!!!』
父さんとの約束がある。
なにより
母さんに会いたい。
村のみんなに・・・会いたい。
はやく・・・家に帰りたい!
俺は、足を進めた。
寝ないで足を進めた。
今寝たら、起き上がれない気がしたから。
だから、足を進めた。
なのに・・・。
「なんなんだよこれえええええええええええええええええ!!!!」
心も体もズタボロにしながらたどり着いた村は
炎に包まれていた。
家も!
畑も!!
・・・人も!!!!
なんで、なんで!!
「うわああああああああああああああああああああああああああ!!!」
か、母さん!!!
はっと気が付いた俺は駆けた。
村の端の俺の家へ
「母さん!!母さん!!!!かあ・・・・っ!!!!」
全速力で駆けつけた家は炎に包まれてた。
そして
母さんだったモノは無残な姿で捨てられていた。
衣服を破かれ乱暴されたとひと目で分かるそれは
お腹だったであろう部分から中身が引きずり出されていた。
「う”っ・・・うげええええええええええぇぇぇえぇっ!!」
吐いた。
訳も分からず吐き続けた。
胃の中に何もないのだろう、吐いたモノは黄色い液体だった。
苦しい、辛い。
なにが?
分からない。
みんな燃えてる。
わかr・・・。
その時だった
「おいぃ~?まぁだ生き残りがいるぞ」
「あ”?」
「うわ、ほんとだ・・・なんだこいつ、吐いてやがる」
混乱し思考が定まらないなか俺を見下ろす影が差す。
見下ろす三人の男
赤い鎧に銅の剣
ロマリア兵だ。
「ひっ!」
「ははは!こいつ腰抜かしやがった!!」
「吐いて、ビビって・・・ガキか!」
「いや、ガキだろ」
「そうだな・・・ま、いいわ」
恐怖に引きついった俺の目の前で3人の男が笑いながら
剣を振りかぶり・・・。
「っ!!」
咄嗟に俺は転がるように避けた。
「あ?なんだこいつ」
「はは!下手くそ!」
「うるせぇ!・・・オラ逃げんな」
「っっ!!」
また振りかぶられ
俺は全力で逃げた。
「オラオラ!もっと逃げろ逃げろ!」
「ぼくちゃぁ~ん、まってぇ~」
「ぎゃはは!ほれ!」
でも、逃げきれなかった。
大人と子供
しかも三人にいいように嬲られ囲まれ
俺はなすすべなく・・・。
さっき切りつけられた左腕がジクジク痛む。
今投げつけられた石が背中を抉る。
痛い、痛い痛い!!
イタイイタイイタイイタイイタイイタイタイイタイイタイ!!
「もぅいやだあああああああああああ!!!!!!」
俺は我武者羅に走った。
後ろから嘲笑う声が聞こえる。
石をまた投げつけられた。
でも構わず走った。
どこにそんな体力あったのか、叫ぶと走れた。
走って走って走った。
どこを走ってるかなんて分からない。
何を目指してるかわからない。
ただ、この痛い現実とあの男たちから俺は逃げた。
「うわあああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!」
走り続けた。
いつしか、嘲笑う声も
投げつけられる石もなかった・・・。
ありがとうございましたヽ(´▽`)/