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四十畳ダンジョン物語  作者: @さう
四十畳ダンジョン物語 第一章 王都ダンジョン
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02 とりあえず階層の増設とモンスターの生産

 02 とりあえず階層の増設とモンスターの生産


 フィレ肉というのは、牛全体の3パーセント程度しか取れないそうだ。

 俺はこのフィレ肉が好きだった。友人はリブロース最高と言っていたが。

 ダンジョンコア1129号、通称フィレに注文する。

「とりあえず、あと4つ階層増やして、マスタールーム以外で5階層にしよう。確認省略」

『了解しました』

 ずずずず、と部屋が揺れ、下がっていく。一階層だけ作った時よりも遥かに長い。

 部屋が止まり、

『完了しました』

 とフィレが告げ、しまったと思った。あの長い階段が5階分だと?

 時間もかかるし、途中で力尽きるわ。


 転送魔方陣とか、そういったものは無いらしい。

「なんかエレベーターとかつけられないの?」

『可能です』

 そんなわけで、各階層の階段のところに、ダンジョンマスターの生態認証で入れるエレベーターを付けてもらった。

 なお、一階層あたり10DPかかった。5階分なので50DP

 10円だから100円だからと使い続けていては、すぐに懐の底が見える。お金とはそういうものだ。ソース俺。

 そろそろ、どうやってDPを稼ぐかを考えるべきだ。

「DPってどうやって稼ぐんだ?」

『ダンジョンが保有する魔力の量が、すなわちDPですので、侵入者の魂を吸収し魔力に変換する事によって、補充されます』

 つまり、入って来たヤツを殺せって事か。なかなかエグい。死んでも入り口で蘇るタイプのやつじゃないんだな。

 あれ? まさか、このダンジョンの保有魔力量がたまたま俺の財布の中身とシンクロして召喚されたとか、そんなしょうもない話だったりするのかこれ。

 よく考えたら教室1個分掘って固めるのが100円なわけないよな。

 財産奪ったとか思って申し訳ありません。

「それって、魔力でいいって事だよな?」

『はい。単純な魔力でも補充は可能です。しかし、魂の方が効率も良いですし……』

 なんだ? 人殺したいのか? ちょっと怖いなフィレ。

「てことは、だ。侵入者に魔法や、魔法の伴う攻撃などをさせれば吸収は可能か?」

『可能です』

 なるべく魔力を消費させる様なダンジョンにしよう。

 大量殺戮の方向でもいいが、人が死に過ぎると客が減る。

 だが、疲れても生きて帰れるなら、次こそはとまた来てくれる。ギャンブラーはそうやって身を破滅させるのだよ。


 それからフィレと色々問答した。


 侵入者達はダンジョンに入って旨味があるのか。

 これは、まずダンジョンコア自体がかなり貴重な魔道具らしい。魔力そのものが結晶化したものだし。ダンジョン内のモンスターは死ぬとしばらくして魔石に変わる。これがダンジョンに入る冒険者の主な収入源。萬の事に使える。稀に残るモンスターの体の一部なども貴重な薬などに使われるらしい。まだモンスターの生産はしていないが、それも可能な事は聞いた。DPで作れるという事なので、ダンジョン内のモンスターも魔力の塊なんだろう。確かに薬になりそうだ。

 後は貴重なドロップ品なども持ち帰ってお金にしたりするそうだ。


 さて、お気付きだろうか。

 つまり、ダンジョンを維持するためには収支が大事という事だ。

 DPはダンジョンを維持するためだけにも使われている。つまり、消費され続けている。

 一見旨味がある様に見せて、何度も入らせ、しかし、きっちりこっちが儲かっている。そういう形にしなければならない。

 相手から吸収した魔力よりも低いリターンを返さなければならない。あるいは、何度も吸収し、その後、トータルには見合わないが、一回分大きく返す。これでギャンブラーは勝手に入ってくる。

 収支がマイナスなのを見たくなくて、わざと計算もせずに「トータルで見れば勝ってる」と、自分に言い聞かせてパチ屋に通うジャンキーをしっかり掴まなければならない。


 実際は、ダンジョンのシステムで魔力を結晶化、物質化させると、地上でやるよりもずっと簡単にできるので、win-winも可能らしいのだが、そんな甘い事を言っていたら、後で何かあった時に懐具合が寒くて震えている事しかできなくなる。ソース俺。


 とにかく、徹底的にやる。

 およそ40畳、縦型ダンジョンで。


 この広さでは迷宮にするわけにもいかず、侵入者を足止め、撤退させるには罠かモンスターしかない。

 探索に時間をかけてもらう事もできないので、強力なモンスターが必要だった。

「例えばドラゴンとか幾らぐらい?」

『最も安いアースドラゴンの幼体で300万DPとなります』

「高いな。じゃあ、えっと、地上の平均的な冒険者4人パーティーと互角なモンスターとその価格は?」

「本日の冒険者平均では、オーガナイト、500万DPとなります」

 本日の、って、やっぱ変動してるって事だよな。

 そんな事より、今のDPでは冒険者4人も足止めできないだと?

 やっぱりコレ俺の懐から抜いたお金なんじゃないのか?

「どうしてうちはこんなにDP無いんだ?」

『元々魔力が乏しかったというのが一つ。そして、このダンジョンは発生してからおよそ5年の歳月が流れ、その間魔力が流出し続けていましたので』

「そうか……。入場制限ってできるか?」

『可能です。最低人数は2人、最高人数は50人となっています。』

 50人は無理だろ。学校の教室でさえ30人40人でぎゅうぎゅうだというのに。

「じゃあまず、入場制限を最低の2人にしてくれ」

『了解しました。設定を変更します』

「ゴブリンって、幾らなんだ?」

『ゴブリンは10DPとなっております』

 ゴブリンやっすいなぁ。でも40畳分の草と同じと考えると何か腑に落ちない。


 まだDPは3千弱残っているが、ダンジョンを維持するだけでもDPは消費されるし、俺が生活しているだけでも消費されるという。

 どういう仕組みなのか全くわからないが。

 本当に消えるギリギリで俺が召喚されたらしい。

 やっぱり財布の中身とDPがシンクロしたんだろうか。

 ともかく、うだうだやっている時間は無い。

 とりあえず思いついた方法を実行してみる事にした。

 モンスターは第二階層に用意する事にした。

 第一階層は、あの草原の部屋だった。せめてもの抵抗のつもりで、毒蛇を10匹程生産して放しておく。

 なお、毒蛇1匹5DPだった。毒蛇2匹でゴブリン1体に匹敵するのか。草とは違い、今度はちゃんとした動物だ。ゴブリンて実はスポンジなんじゃないのか?


 マスタールームの一角に3畳分程スペースを確保し、草を生えさせた。

 そこに寝転がる。

 ベッドとかは作れなかった。生命体を魔力から作れるのに、加工品は難しいらしい。理由がよくわからん。


 これでダンジョンマスター1日目は終わる。

 明日はとうとうダンジョン解禁日だ。

 正直全く準備が足りないが、DPが無いのだ。こうなればやるしかない。

 本当はもっと策を練りたかった。だが、あれもこれもと考えているうちに、金は減る。足踏みばかりしていて、懐が底をついてから後悔しても遅い。ソース俺。


「おやすみ」

『おやすみなさいマスター』

 フィレが気を利かせたのか、辺りが暗くなった。

 闇の中で俺は眠りについた。


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