まぁ いいか
ドクドク高鳴る鼓動が 俺に言ってる様に
聞こえた
「好きになったんだよ」・・・と
俺が 高鳴る鼓動に 戸惑っていると
片付けを終えた 彼女が戻ってきた
そして俺は コホンと一つ咳払いをして
「あ あのさ 親には連絡したの?」
「うち 父さん居ないし それに今戻っても
また母さんに 心配かけるだけだから」
「え? い いや それは違うだろう?
帰ってこない方が 普通 心配するぞ?」
俺には この子の言ってる事が
イマイチ 理解出来なかった・・・
「大丈夫だって!ねぇ それより今日は
日曜だから 仕事休みなんでしょ?」
「あ ああ そうだけど どうして?」
「休日は 何処かに出掛けたり
しないのかな〜と思ってね」
「あ ああ 休みの日は ずっとネットゲーム
してるかな〜」
「え?そうなの?」
「うん そうだけど どうして?」
「な 何でもない」
寂しそうな目をして 彼女は俯いた
いくら鈍感な俺でも 彼女が 何処かに
行きたがってるのは 分った
だが ! 休みしか長時間イン出来ないんだ !
やらなきゃいけない事も 沢山あるしな !
そして俺は パソコンの電源を入れた
そう やらなきゃいけない事が あるんだよ
そして 約五分後
「ねぇ 本当に良かったの ? 」
俺は彼女と表を歩いていた・・・
「ああ ゲームは何時でも出来るからさ」
それに ただ道を歩くだけで こんなに
嬉しそうにされたらな〜
これはこれでいいか… そう思った
「ん ? 何 ? 」
「い いや 何でもない」
俺の視線に気付いたのか 突然 こちらを
向いたのに驚き 俺は彼女から顔を背けた
横顔を見てたの 気付かれたのかな?
そうなら 変な風に 思っただろうな〜
その時 彼女が 高らかな声を上げて
立ち止まり 指をさした
その 指差した 先にあったのは
安売りの 大型スーパー店だった
「あの店がどうかした?」
「何時の間に あんな大きなお店が??」
「え? あの店は もう十年前から この町に
あるんだけど 知らないのか?」
「私 幼い頃から ずっと体が弱くて
あまり家から出た事 無かったから…」
「そ そうなんだ 何だか ゴメンよ」
「ううん いいのよ」
彼女の言ってる事は 何か おかしい
何が おかしいのか 分らないが おかしい
どうも 何か引っかかってる感じなんだよ
「ねぇ あの店 行かないの?」
「ん?あ ああ そうだね 夕食の材料も
買わないとだし 行こうか」
「やったぁ〜!」
両手を上げて 喜ぶ彼女の 姿を見て
まぁ いいか……
そう 思ったのだった