誓語
初めての短編小説です。
『永遠の愛を誓います(エターノウ・ザン・ラブ)』
「この合言葉を忘れないで。」
「将来、私たちが大人になって再会した時にこの合言葉をお互いに言い合う事が出来たなら。」
「結婚しよう・・・!」
あれから十年以上経った今でもまだ、その合言葉を言えないままだ―――。
「ふわぁ~。眠い・・・。」
俺の名は相条楽。
朝五時半、俺はいつもこの時間に起きてお弁当と朝ご飯を作る。
俺の親は出張が頻繁にあるため一カ月に一度しか家に帰ってこない―つまり一年でだいたい十二回しか返って来ないわけだ。
どれだけ多くても二十回は帰って来ないだろうな。
だから家族の面倒は長男である俺が全部みている訳だ。
ここで俺の家族を紹介しておこう。
父親の相条耀一郎。
母親の相条佳乃。
そして俺、長男の相条楽。
妹で長女の相条美玖。
妹で次女の相条雛。
僕は高校一年生で十六歳。
美玖は中学二年生で十四歳。
雛は小学三年で八歳。
お弁当は自分の分だけで済むのは楽なことだ。
朝は3人分作らなければならないけど。
朝六時半になり美玖を起こしに行く。
「美玖、起きろ~今日、朝練は無いのか?」
「う~ん、あるよ~。」
「なら起きろ~。」
「やだ~。眠い~~~。」
まったく困った奴だ。
「ほら、おんぶしてあげるから。」
「なら抱っこがいい。」
コイツ・・・
「わかった抱っこしてやるから起きろ。」
「は~い。楽兄、大好き。」
こうして美玖の部屋からリビングまで抱っこで連れていくはめに。
「楽兄。」
「ん?」
「おはよ。」
「ああ、あはよう。」
まぁ俺も楽しいからいいんだけどね。
「さて次は雛か。」
俺は雛の部屋・・・ではなく自分の部屋に向かう。
やっぱりいたか。
「おはよう雛。起きろ~。」
「おはようございます。お兄ちゃん。」
「いつも思うんだけど何でお兄ちゃんのベットで寝てるだ?」
「お兄ちゃんと寝たいから。」
・・・・・・。
なんてストレートな理由だ。
「それなら最初からお兄ちゃんの布団に入れば良いのに、何で途中から入ってくるんだ?」
「だってお兄ちゃんが怒るから。」
「わかったわかった、それなら今日からは最初から入っていいからな。」
「本当!?ありがとう!」
そんな訳で今日から一緒に寝ることになった。
まぁ仕方ないんだけどね。親が二人ともいないから甘える人が俺か美玖しかいないし。
「おっと、このままじゃ遅刻だ。早くご飯食べて行くぞ。」
「うん。」
それから、ご飯を食べ支度を済ませて学校へ向かう。
「楽兄、いってきまーす。」
「お兄ちゃん、いってきまーす。」
「二人ともいってらっしゃい。」
二人を送り出した後、学校へ向かう最中に昔のことを思い出した。
「いつ、あの子に会えるんだろう。あれから十一年か。」
『永遠の愛を誓います(エターノウ・ザン・ラブ)』か・・・
今頃どうしてるだろう。
名前も顔を覚えていないあの子に会うために俺はずっとその言葉を覚えている。
「早く会いたいなぁ。」
そんな風にもの思いに耽っているとどこかから声がしてきたような気がした。
「そんな君にはゲームをやっていただきま~す。」
「誰だ。」
周りには誰もいない。
「私はどこにもいませんよ。あなたの脳に直接話しかけているんだからね。」
「意味分からないことを言うな。」
「まぁ、そんな風に思っても仕方ないからゲームのルール説明をしちゃうよ。」
俺の話は無視ってわけか。
「ルールは簡単。今あなたが通っている高校に七人の転校生がやってきます。その中にあなたと昔に大切な約束をした人がいます。」
マジか。
「この時期に転校生?今は五月の下旬だぞ。そんな都合よく七人も来るわけないだろ。」
「はい。だから他の六人はこっちが意図的に転校させる人たちです。そして、その一人をあなたが見つけて約束の合言葉を言い合えたらあなたの勝ちです。あなたたちは結ばれることでしょう。」
確かにそれは嬉しい。結ばれるよりもそれ以前にその子と会えるんだから。
「失敗したら?」
「失敗した場合はあなたか約束をした人がランダム死にます。ですから選ぶときは気を付けてくださいね。それとその子たちに質問とかはしてはいけませんので、悪しからず。」
「それでは合言葉ならぬ愛言葉ゲームの始まりです。」
好評だったら連載しようと思っています。
見ていただけたら感想と評価とよろしくお願いします。