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山、見えない、表具屋
今日も、表具屋が激しい売込みだ。
買う気はない、何度言っても頓着しない。
恐ろしい形相で睨んでやっても、まるで私など見えないかの様だ。
「この屏風、時々、描かれた虎が出てくるんですよ」
「そんな危ないものいらん!」
「では、この掛け軸…」
そこには、リアルに山が描かれていた。
「いいな…」
山は大好きだった。
なので、その掛け軸は買ってしまった。
その山は、とてもリアルだった。
翌日、掛け軸の山は、轟音と共に噴火した。
えー、あまりにリアルな火山の絵が噴火した、という事で…。それにしても、これは、表具って何?から始まりました。ぐぐったら、掛け軸とか屏風とかを表具って言うって事で…。こんな難しい(私が知らないだけ?)言葉で三題噺、どうしよう…、と思いました。まぁ、なるようになれ、と書きました。何回か書き直すうちに、何とか形にはなったでしょうか? ちなみに、書き終わってから、噴火じゃなくても、毎日山登りを楽しむ、ってオチもありかなぁ?でも、ちょっとインパクトに欠けるかなぁ?なんて思いました。