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渡り鳥、積乱雲、チーズ
積乱雲は嫌い。 梅雨が終わった頃。
積乱雲が浮かび始めると、彼は出掛けてしまう。
待ってろ、そんな言葉もくれずに、居なくなってしまう。
渡り鳥じゃないけれど、夏が来ると私の許から飛び立っていく。
けどチーズは好き。
おこたで、チーズにワイン。
なんて始める頃に、彼が帰ってくる。
夏の間、思いっきり飛び回って疲れきって帰ってくる。
待ってろ、とは言わないくせに。
私が待ってることを知ってるのね。
ちょっとずるいと思うな。
三題噺お題作成からもらったお題です。夏になると、どっかに行ってしまう彼。けど、冬になるころには、必ず帰ってくる。約束はないけれど、それはお互いの暗黙の了解。そのうち、きっと約束が生まれる。けど、一方的に待つ、今は、ちょっとあいつがずるいと思う。なーんてね。




