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踏切、今の気分、彫刻刀
少し前に彫刻刀なんかを手にしていたら、今、僕はここに居なかったかもしれない。
本当にどん底だった。
少しずつだけど、前を向けるようになってきた。
今は視線を上に向けることだって出来る。
ふと、満開の桜に気付いた。
途端に何年も前の記憶があふれでた。
少し前だったら落ち込んだだろう。
今の気分は落ち着いている。
だが、この苦しい愛しさは久しぶりだ。
彼女は今、どうしてるだろう?
この踏切、懐かしいな。
あ。 今の人は……。
三題噺お題作成からもらったお題です。えー。判る人には判っちゃうかも知れません。『秒速5センチメートル』の貴樹くんが、そのラストで感じたかな、という想いのつもりです。 何年たっても消せない想い、というのもある。なんてね。この三題噺ざんまいで、秒速関連のお話を書いたのは初めてですねぇ。