156/430

ラッキー、判決、公園

　グラブを持つと、ダッシュで公園に向かった。

「ラッキー！　一番乗り！」

　あの頃は、毎日草野球だった。　あれから何年経つのだろう…。

　今、僕はその公園を取り壊してマンションを建てようとしている。

　周辺住民はこぞって反対で、裁判になった。

　判決は住民の敗訴で、かつての草野球仲間にも罵られた。

　だが、僕には計画があった。

　今日、社内でやっと認可された僕の計画を披露するときが来た。

「１Ｆは初の草野球用ドームです。　そして…」

現実としてはどうなのか、そもそも日照権とかもあるんじゃ？　救われるのは草野球だけ？　なんてことも考えましたけど、まぁ、こんな発想もありかなぁ、なんて無責任に思いました。１Ｆは高さ１０メートルくらいの草野球用ドーム！　初の全天候型草野球場！　グランドはもちろん、芝なんかじゃありません。フツーの地面です。毎日だれかがダイヤモンドをその辺の棒切れで描くんです。　ああ、妄想は爆発するけれど、実現性は……。　あははは。すんごい無茶振り。