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米独・終わらない冷戦 〜東側最強の暗殺者、裏世界を駆る〜  作者: イチジク浣腸


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2/5

潜入開始

一週間後。ゲルマニア郊外、オラニエンブルク近郊。

陸坤は、森の中で施設を監視していた。

双眼鏡越しに見える研究施設は、表向きは「帝国農業研究所」と名乗っている。だが、周囲を囲む三重の電気フェンス、定期巡回する武装親衛隊員、そして施設の四隅に設置された監視塔——これは、農業研究所などではない。

「生物兵器研究所、か」

陸坤は呟き、双眼鏡を下ろした。

彼はこの一週間、施設の周辺を徹底的に偵察していた。警備のローテーション、親衛隊員の人数、清掃業者の出入り——全てを把握した。

そして、今夜——水曜日の深夜0時。清掃業者が施設に入る時間だ。

陸坤は腕時計を確認した。午後11時45分。

「そろそろ、準備するか」

彼は森を出て、施設から2キロ離れた場所に停めてあるバンに向かった。

バンの中には、清掃業者の制服と偽造IDカード、そしてCIAが用意した電子認証偽装装置が用意されている。

陸坤は制服に着替え、IDカードを首から下げた。サングラスは外し、代わりに普通の眼鏡をかける。清掃業者を装うには、目立たない方がいい。

「老哥、頼むぜ」

彼はバンを出て、施設の東側、資材搬入用の裏門に向かった。


午後11時55分。

陸坤は裏門の前に到着した。

既に数人の清掃業者が集まっている。陸坤は彼らに混ざり、自然に会話に加わった。

「今日も残業か。きついな」

「まったくだ。この施設、なんでこんなに警備が厳しいんだ?」

「農業研究所だからだろ。機密の品種とか、盗まれたら困るんじゃないか」

陸坤は内心で冷笑した。農業研究所——誰が信じる?

午前0時ちょうど。裏門が開いた。

警備員が、清掃業者たちのIDカードを一人ずつチェックしている。陸坤は偽造IDカードを用意し、順番を待った。

「次」

陸坤は警備員にIDカードを差し出した。

警備員はカードをスキャナーにかざした。

数秒の沈黙。

——ピッ。

緑のランプ。

「入れ」

陸坤は頷き、施設内に入った。

施設内部は、予想以上に広かった。清掃業者たちは、それぞれの担当区域に向かって散っていく。陸坤は、地下への階段を目指した。

だが——途中、一人の警備員が彼を呼び止めた。

「ちょっと待て」

陸坤は立ち止まった。

警備員は彼のIDカードを確認した。

「…新人か?」

「ええ。今日が初日です」陸坤は自然に答えた。

「なら、地下は立ち入り禁止だ。地下の清掃は、ベテランしか入れない。」

「そうなんですか。すみません、知りませんでした」

「一階の廊下を掃除しろ。道具は、あっちのロッカーにあるから。」

警備員は廊下の先を指さした。

陸坤は頷き、その方向に歩き出した。

だが——警備員が背を向けた瞬間、陸坤は方向を変えた。

空気が一拍、止まる。

その一拍の中で、陸坤は静かに動いた──短い接触、相手の膝が緩み、ゆっくりと視界が落ちていく。暗闇に沈む警備員。その横顔を見下ろし、陸坤は階段へと向かった。

地下への階段は、すぐそこだ。

地下一階。

陸坤は、清掃用具を持ったまま、地下二階への階段に向かった。

だが、そこには電子認証ゲートがあった。IDカードスキャンとPINコードの二段階チェック。陸坤は電子認証偽装装置を起動し、データを送信した。

スキャナーが装置を読み取る。

数秒の沈黙。

——ピッ。

緑のランプ。ゲートが開く。

「老哥、アメリカの技術は捨てたもんじゃないな。」

陸坤は地下二階に足を踏み入れた。

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