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revival world  作者:
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群馬、解放


 灰色の世界を駆け抜け、手にした銃をひたすら撃つ。砕かれた瓦礫が散弾のように襲ってくるが、防具の耐久性を信じて迷わず突っ込む。

 もう回復アイテムは使い切っており、武器も今使っている銃しか無いが追い詰められているのは相手も同じだ。


 折れた角が痛々しい筋骨隆々の赤鬼。このエリアを解放する為にはこいつを倒し、その背後にあるアレに触れなければならない。

 戦闘開始時は20人×50チームいた解放者達は既に全滅しており、残っているのは自分だけだ。


「最悪の巻き込まれだなクソが!これもある意味MPKになるのか?」


 元々俺の目的は別にあり、あるアイテムを探しに来ただけだったので今の装備はガチの戦闘用では無く採取メインの戦闘はおまけ程度の物でしか無い。

 ストレージも採取アイテムの為に必要最低限のアイテムしか入れていなかったし今使っている銃も初期配布された弾倉無限だが威力は最低限の物だ。

 ぶっちゃけ、ボスに挑む装備としては不適格。正気かと頭を疑われるレベルの低性能である。


「あいつら、ホントクソだな!俺達モグリが気に食わないのはまあ理解出来るけど!告知無しのボス戦はやったら駄目な奴だろうが!!」


 ついでに言えば、そもそも本来このエリアボスがいるのはここから大分離れた山の中にある寺院だ。エリアボスが決められた場所から動く事は基本的に無いが、戦闘中の解放者がエリア外に逃げた場合その制約は無くなる。

 エリアボスは逃げた解放者をひたすらに追い続けるのだが、最初にその仕様が発覚した際にレベリング中の解放者だけで無くそれ以外の有力クランの前衛後衛どころか生産職にまで多数の犠牲が出てしまい当時まだ後1ヶ月もあれば可能な見込みだった千葉の解放に結局6ヶ月掛かってしまった。


 とは言え、わざとエリア外に移動させ特定のエリアで嵌め殺しにするという方法で解放出来たエリアもあるのでこの方法を行う場合は挑戦する解放者が事前にエリアボス戦の日時を周知する暗黙の了解が出来た。

 挑戦しない解放者達もその時はボスエリアから半径10kmには近付かないというルールも出来たのだが、今回の挑戦者達はそのルールを無視した為俺はこうして現在進行形で巻き込まれている。

 更に言えば俺以外にもこのエリアにはそれなりの数の解放者達がいたのだが、告知外のエリアボス戦によるMPKにより全滅。

 彼等の装備やアイテムだけが虚しく取り残されている状況である。

 仲間入りだけは断固として御免被る。


「絶対に生き延びてやるんじゃボケ!!」


 幸いと言っては何だが、挑戦者達が嵌め殺しの為に色々とやってくれたお陰で赤鬼はもう少しで倒せる。だがやはり低威力の初期武器の為、中々削りきれない。

 例えるならばそう、最大HP100万で残りHP1万の敵に対して1~2ダメージしか与えられない攻撃をひたすら続けているような感じだ。なお、こちらは下手すれば一撃喰らっただけで終わるし集めたアイテムも失うというおまけ付き。

 いやホント、クソゲー過ぎる。

 戦闘用の装備なら間違いなく勝てるし今なら討伐報酬一人占め出来るという状況も相まってなおさらこう、精神にくる物がある。


「って、ヤベェな」


 赤鬼は大きく腕を振りかぶっていた。こちらを叩き潰そうとしているのだろう。とは言え動きは鈍重であり避けるのは容易い。

 そう考えていたが、ふとある物が視界に映り思わずニヤけてしまう。


「良い物、みっけ!」


 迷わず駆け寄りそれを手に取る。そしてそれを赤鬼が腕を振り下ろす先に放り投げ脇目も振らず全力でその場を離れた。

 振り下ろされる巨椀。

 瞬間、爆風が吹き荒れ轟音が響く。


 MPKにより取り残されたアイテム達。

 その中にあった爆弾アイテムを叩き潰し、赤鬼は吹き飛ばされた。

 HPはまだ残っているが既に瀕死。おまけに吹き飛ばされ仰向けに倒れた赤鬼は絶好の的でしか無く、そこに容赦なく弾丸を叩き込み続け───。



『Congratulations!!』



 エリアボス討伐のアナウンスが表示された。

 これにより、現実の方の群馬も解放されることになる。







「っしゃあ!!報酬&ドロップアイテム(MPKした奴等とされた奴等の落とし物)総取りじゃあああーーー!!!」


 だがそんな事よりも、予定外のボーナスに俺は思わず叫ぶのだった。

 ストレージにはかなり余裕があるので全部回収しても問題無い。

 復活した奴等が来ない内に手早くアイテムを拾い集めその場を去るのであった。



少しややこしいですが、作者的にはVRMMORPGと緩いディストピア的な世界を雑に混ぜたイメージで書いて行こうと思っています。

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